私の選んだ一品

暮らしの道具と呼べる家電

ようやく暮らしの道具といえる家電製品ができたと感じました。華飾が少なく、カタチそのものによるデザインがモノの価値を表しているこれらは、正々堂々とした勇敢なデザインと言えるのではないでしょうか。ことさらに物質感を主張する華飾にまみれたモノたちが、なにか滑稽で気恥ずかしいものに感じられます。
この家電製品シリーズが体現する“適切な豊かさ”は、これからの工業デザインが生き残る道だといえるでしょう。

柴田 文江Fumie Shibata

家電
無印良品 キッチン家電シリーズ
Consumer Electronics
MUJI Consumer Electronics Series for Kitchen

鍋や食器のようにキッチンやダイニングを取り巻く環境に調和する、暮らしの道具としての姿を目指したキッチン家電シリーズ。過度に多機能化した複雑な家電よりも、シンプルな機能でわかりやすく、長く愛着を持って使い続けられる家電が欲しいと言う生活者の声に応えた。冷蔵庫やオーブンレンジなどの「壁」に近い道具は、生活の背景となるよう四角い箱型に、電気ケトルや炊飯器などの「人(身体)」に近い道具は、丸みを帯びた優しいかたちとした。余計な装飾に頼らず、使い勝手や手触りや質感、適正な価格にこだわり、人々の生活の潤いや暮らしとの調和を第一に考える無印良品の思想を、これからの時代の一つの家電の姿としてかたちにした。

株式会社良品計画 Ryohin Keikaku Co.,Ltd.

この情報は、東京ミッドタウン・デザインハブで2014年10月に開催された「私の選んだ一品2014」展の内容を再構成したものです。
→「私の選んだ一品2014」展について