私の選んだ一品

感覚が欲する魅力

デザインが必要とされる範囲が日に日に広がっている。Gマークの審査会場にも、ありとあらゆるテリトリーのモノやコトが並ぶ。必要とされるからデザインがある。だが、それぞれの分野の多くはまだまだ開発途上のように見える。または既にできあがった価値の表面をなでているようにも見える。もちろん、それらのことにも意味はある。ただ、その中から一点を選ぶ時、私はこのカメラを迷わず選んだ。
モノの存在は、それでしか伝えられないコトを伝える。観念ではなく、感覚が欲する魅力にあふれたモノ。説明は不要だ。体感的にこのモノを受け取ることに価値がある。新しいプロダクトデザインの逸品だと思う。

工藤 青石Aoshi Kudo

「撮りたい!」「撮られたい!」

メディアやテクノロジーの進化は、デザインの概念を大きく変えている。そんな中、私が近年とても残念に思っていたのがカメラのデザインだ。スマートフォンのカメラ機能の進化やコンパクトデジタルカメラの機能やデザインの画一化傾向は、私にとってとても残念なものとなっていた。
このSIGMA dp2 の登場は、そんな私にうれしい衝撃を与えてくれた。超高解像度をはじめとした高機能を踏まえたそのデザインは、長らく失っていたカメラデザインのアイデンティティーの復活を思わせる。「撮りたい!」はもとより「撮られたい!」デザイン。デザイナーの存在を大きく感じる久々のカメラの登場だ。

中谷 日出Hide Nakaya

  • ユニット12:メディア、ソフトウェア、コンテンツ、パッケージ、広告、宣伝

デザインの喜びとはこういうこと。

コンパクトデジタルカメラは、携帯電話のカメラ精度が上がるにつれ、存在意義について各社が様々に思考している。
しかし、このdp は各社の思考と一線を画した次元である。
その佇まいは、従来のカメラのフォルムを排除。技術的に確立したレンズと特殊なセンサーを内包するマグネシウム合金の薄い構造体を、工業デザインの力で孤高の存在に押し上げた。カメラとしての精度や持ちやすさ、右手の親指が当たる部分に設けた指がかりの位置、外装の絶妙なシボの配置など、もちろんさすがだが、コンパクトデジタルカメラの本質だけを見事に切り出したデザインには圧倒される。はじめて見たとき、デザインの喜びとはこういうことだと感じた。お見事です。

松井 龍哉Tatsuya Matsui

デジタルカメラ
dp Quattro
Digital camera
dp Quattro

シグマdpシリーズは、フィルムライクな層構造ですべての光情報をそのまま取り込める世界唯一のセンサー、Foveonを搭載している。垂直色分離方式センサーが生み出す圧倒的に豊かな色の階調は、目で見る質感と同質の表現力を持ち、単調なモノトーンのグラデーションであっても、破綻なく色再現する事が可能である。 あらゆる構成要素を徹底的に検証し直し、シグマの哲学である「作品づくりのためのカメラ」への方向性を先鋭化させ、本格的な芸術表現をより身近にするための本質性能だけに特化して磨き、生まれたのが、dp Quattroシリーズである。

株式会社シグマ SIGMA CORPORATION

この情報は、東京ミッドタウン・デザインハブで2014年10月に開催された「私の選んだ一品2014」展の内容を再構成したものです。
→「私の選んだ一品2014」展について