私の選んだ一品

眼鏡づくりの匠の技が生んだ至高の術具

一見してその緻密で繊細なシルエットは眼鏡のフレームを連想させた。
それもそのはず、この脳神経外科用剪刀を開発したのは、福井の鯖江で眼鏡フレームを作り続けてきた老舗メーカーだ。高い付加価値がある眼鏡フレームを作るために開発されたレーザー微細結合技術を医療用途に応用し、外科医が意のままに操れる至高の術具を生み出した。日本のものづくりの技術が医療の質を向上させ、地場に新たな産業を生み出し、人の幸せにつながっていく。医工連携の理想的な事例のひとつである。

重野 貴Takashi Shigeno

  • ユニット07:素材・部材、開発・生産・製造用の機器・設備、製造技術・製造法/研究・教育・医療用の機器・設備

物質としての脳を切断する

道具の価値はそこに託すものの価値によって決まる。道具の説明をしても、そこからは(ほとんど)何も見えてこない。
専門家のためのインターフェースは集中する。ちょっとした違いが大きな変化を生み出す。
人間の本性は、日常生活の中には(ほとんど)現れない。
日常生活を掘り下げることとは、極限状態の逆関数を発見することである。そこではじめて、人間の本性を垣間見ることができる。

久保田 晃弘Akihiro Kubota

  • ユニット12:メディア、ソフトウェア、コンテンツ、パッケージ、広告、宣伝
脳外科手術用器具
脳外科マイクロ剪刀
Micro Neuro Surgical Instruments
Micro Scissors

顕微鏡下で微細な組織の切断や剥離をするための医療用の脳外科手術マイクロ剪刀(ハサミ)である。深部操作を長時間精緻に行う手術において術者への疲労の問題がある。そこで繊細な手術において円滑にストレスを感じることなく、しかも心地よく扱えるマイクロ剪刀を臨床現場の福井大学医学部脳脊髄神経外科菊田教授と連携し開発する。

株式会社シャルマン+福井大学 Charmant Inc. + UNIVERSITY OF FUKUI

この情報は、東京ミッドタウン・デザインハブで2014年10月に開催された「私の選んだ一品2014」展の内容を再構成したものです。
→「私の選んだ一品2014」展について