子供の頃、祖父の読書用の四角い大きなルーペは、私にとって虫や草花を観察する道具でした。ナイツの拡大読書器NVS-X1 にも、祖父のルーペのような汎用性を感じます。
洗練されたカタチ、軽やかな配色には、機能優先の福祉機器のイメージがないからです。
ボタン類のレイアウトや動きも身体感覚に合っているため操作も簡単。思わず子供の頃の私と祖父が一緒にこのツールを使っている風景を想像しました。ルーペと違い、お互いが見ている世界を共有できるNVS-X1 のディスプレイを見ながら楽しく会話したに違いありません。このツールのように、障害者と健常者という垣根を取り除き、互いをつなぐデザインに私も注力しなければと思いました。
安次富 隆Takashi Ashitomi
拡大読書器は、弱視者や視覚に障害を持つ人のために、可動式テーブルの上に置いたものをカメラで撮影し、ディスプレイに拡大して映し出し、読み書きをしやすくするための道具です。 英語ではVideo Magnifierと呼ばれる通り、ビデオカメラを用いた拡大鏡です。 ユーザーはこれを使って本を読むだけでなく、手紙を書き、爪を切り、スマートフォンやタブレットを操作しています。 これまでの拡大読書器は読むことだけに重点を置き、書くことに対しては積極的な工夫がありませんでした。本製品は、ディスプレイの昇降装置に工夫を凝らし、読みやすさだけでなく自然な姿勢での書きやすさを実現しました。