私の選んだ一品

家族用住宅の新しい可能性

二. 五世帯という家族用住居の中に、独立性の高い個室を組み込むアイディアは、現在の二世帯住宅の発展形として考案されたものだが、親族や、場合によっては血縁関係でない居住者を受け入れる可能性も示しているように見えて、家族用住宅に新しい展開をもたらすように感じされる。
そして、この住宅は二. 五世帯というコンセプトが、都心の限られた面積の中で実現された好例だ。茶室のような細やかさで、行為と空間の相関をデザインしているが、そうした配慮が特殊解ではなく普遍的な可能性を感じさせるのもよいと思う。

篠原 聡子Satoko Shinohara

  • ユニット10:住宅・住空間/住宅・住空間向けの建築工法
戸建て住宅(2.5 世帯住宅)
中野区鍋屋横町街かどヘーベルハウス
private house for 2.5 families
nakanoku nabeyayokotyou matikado hebel haus

中野区鍋屋横町に計画された街かどヘーベルハウス。火災危険度4の敷地に備災住宅として計画されている。外観は日本古来の防火の知恵、「うだつ」から生まれた袖壁に印象づけられ、また実際にそれによって隣家の延焼から守られている。雨水を地中に蓄え、飲料水や保存食なども蓄え、太陽光発電と蓄電池の組み合わせで、エネルギーもつくり蓄えている。プログラムとしては親世帯と子世帯だけでなく兄弟姉妹も一緒に暮らす新しい二世帯住宅、2.5世帯住宅として計画されている。住宅としての気持ち良さや快適性に加え新しい住まい方のプログラムや備災住宅としての機能を備えている。

旭化成ホームズ株式会社 Asahi Kasei Homes Corporation TOKYO DESIGN OFFICE

この情報は、東京ミッドタウン・デザインハブで2014年10月に開催された「私の選んだ一品2014」展の内容を再構成したものです。
→「私の選んだ一品2014」展について