東北6県をテーマに、年間十二回発行される新しいカタチの旬の食材がついてくる月刊誌。
風評被害もある東北の食材をその背景にある人や物語を合わせて届けることが素晴らしいが、購読者がその食材の楽しみ方をFacebook 上で共有し、ときには生産者もその輪に参加することで縁がつながっていく。純粋に読みたくなる、広げたくなる誌面の写真やデザインのクオリティも注目したい。
この「東北食べる通信」のアイディアは購読者、生産者双方の共感を呼び、地域を拡げたい、年間の発行回数を増やしてほしいなどの声に対し、「日本食べる通信」というNPOとして、サスティナブルなカタチでその拡がりに自由度を持たせていることも素晴らしい。
作る人と食べる人をどのように繋げるのか。これは社会全体の構造を考えることに直結してきます。東北食べる通信は伝えることと食べることを一体化することで、情報と食材を一つの流れに合流させ、継続的に循環させようとする取り組みだと思います。
本来、消費というものは、生きるために必要な仕方がない一過性の費用ではなく、自然や社会を学びながら、よりよい暮らしを実現するための投資であるべきです。「楽しく作る」と「美味しく食べる」という幸福で自然な関係。「世なおしは、食なおし」という言葉を掲げたこの活動には、こうした生産者と消費者の本来の関係性を取り戻すための、様々な創意工夫が満ちています。
鹿野 護Mamoru Kano
東北食べる通信は、地方の生産者と、都市に住む生活者の間の断絶を解消し、双方に「継続的なつながり」をもたらすために創刊された世界で初めての”食べる月刊情報誌”。毎号、東北の熱心な生産者にクローズアップし、付録として、彼らが作った実際の食べ物をつけて会員宅にお届けしています。会員たちは、その食べ物を使った料理をFacebook上のコミュニティに掲載。それを見て生産者がコメントするなど、食べる通信をきっかけに両者の交流がスタートし、農作業を手伝うなどの交流会が自発的に行われるまでになりました。会員数は1000名を突破。四国や北海道、東松島でも食べる通信が創刊されることになりました。