GOOD DESIGN AWARD

グッドデザイン賞受賞概要

2012年度|事業経緯

2012年度のグッドデザイン賞は、2010年度、2011年度に引き続き、審査委員長 深澤直人氏、副委員長 佐藤卓氏の体制により実施しました。 審査開始にあたって、深澤審査委員長からは、「もの」から「こと」へ変化していくデザインも、姿かたちの概念を変えず今後も存在し続けていくもののデザインも、ともに「使いやすさ」と「美しさ」を追求していくことに変わりはない。デザインを定義する要素や領域が拡大しても、よいデザインとは、美しく、使いやすいものごとのことであるという根本に立ち返り、その原理を追求していきたい、というメッセージが提示されました。

グッドデザイン賞の審査理念
人間(HUMANITY)もの・ことづくりへの創発力
本質(HONESTY)現代社会への洞察力
創造(INNOVATION)未来を切り開く構想力
魅力(ESTHETICS)豊かな生活文化への想像力
倫理(ETHICS)社会・環境への思考力

グッドデザイン賞の審査の視点

1)身体的視点

  • 安全への配慮がなされている。
  • 高齢者身体障害者等の弱者への配慮がされている。
  • 使いやすさ・解りやすさ、親切さがある。
  • 長く使えるデザインがなされている。
  • 使用者の創造性を誘発する提案がなされている。

2)生活的視点

  • 新しい作法、マナーを提案している。
  • 使用環境・生活環境への配慮が行き届いている。
  • 家族やコミュニティのあり方についての提案をしている。
  • 新しい働き方や社会参加の仕方を提案している。
  • 次世代のライフスタイルを創造している。

3)産業的視点

  • 新技術・新素材をたくみに利用し課題を解決している。
  • デザインの新しい活用の仕方を導いている。
  • 新しいものづくりや提供の仕方を提案している。
  • 新産業、新ビジネスの創出に貢献している。
  • 産業・企業の新しいスタイルを提案している。

4)社会・地球環境的視点

  • 人と人の新しいコミュニケーションを提案している。
  • 社会・文化的な価値を創造している。
  • 社会基盤の拡充に貢献している。
  • 国際社会の協調と発展に貢献している。
  • 持続可能な社会の実現に貢献している。

「インタラクション」と「仕組み」の視点の審査への導入

審査に際し、具体的なかたちをともなうもののデザインの視点だけでなく、ものと人や周辺環境との関係である「インタラクション」の視点や、「仕組み」の視点から複眼的に審査を行うため、領域別の審査ユニットに加え「インタラクション」と「仕組み」について領域横断的に審査を行う特別審査ユニットを設けました。

グッドデザイン賞の応募カテゴリの考え方について

社会の情報化や産業のサービス化の進展に伴い、デザインがなされる対象も、具体的なかたちがともなった対象(ハードウェア)にとどまらず、情報やコミュニケーション、さまざまな関係を維持するためのシステム・仕組みなどへと、そのニーズが急速に増しています。
このため、2012年度のグッドデザイン賞は、そのようなニーズの変化に対応したデザイン評価をおこなうため、応募対象をデザインが目的とするデザインの「領域」と、デザインの「レイヤー(層)」で分類しました。

  • デザインの領域
    応募対象(デザインされたものごと)を、それが活用されている状況により、以下のいずれかの「領域」に分類します。
    (1)生活領域:身の回り、すまい、くらしにおけるデザイン
    (2)産業領域:生産、製造、流通、販売などにおけるデザイン
    (3)公共領域:広く社会一般に関わる、医療や教育などを含めた社会のインフラストラクチャーのデザイン
    (4)新領域:上記の領域で分類できない、新しい領域を開拓しようとするデザイン
  • デザインのレイヤー(層)
    各領域に分類したデザインを、「なにをデザインしたのか」によって以下の3つの「レイヤー(層)」に規定します。
    (1)ハードウェア(かたちに表されるもの)のレイヤー
    (2)情報・コミュニケーションのレイヤー
    (3)システム・サービス・仕組みのレイヤー
     ※「新領域のデザイン」には「レイヤー(層)」を設定しません。

    これら「デザインの領域」と「デザインのレイヤー(層)」によって、応募しようとするデザインの「応募カテゴリ」を決定しました。

多様な審査方法の導入

審査領域の拡大や海外からの応募の増加などに伴い、多様な二次審査を実施しました。

  • 二次審査期間の延長
    プレゼンテーション審査や現地審査など応募対象に応じて適切な審査をおこなうため、二次審査期間を従来より延長しました。また、幕張メッセにて実施した二次審査会の日程を従来の2日間から3日間へ延長し、審査3日目には、領域別審査ユニットと、インタラクションと仕組みの特別審査ユニットによる合議をおこないました。
  • 海外での二次審査の実施
    応募数が多い韓国・台湾については、現地で二次審査会を実施しました。これに伴い、韓国・台湾から各2名の審査委員を迎え、日本の審査委員と合同で審査ユニットを構成しました。
  • プレゼンテーション審査・現地審査の充実化
    二次審査期間において、専門性の高い応募対象や二次審査会会場に搬入できない応募対象について、現品審査に加え応募企業によるプレゼンテーション審査の実施や、応募対象現品が設置されている場所へ赴いて審査を行う現地審査をこれまでより回数を増やして実施しました。

グッドデザイン賞と金賞等特別賞について

グッドデザイン賞審査と特別賞審査の審査の視点の違いと手順を明確にするため、グッドデザイン賞の審査過程と、金賞等特別賞を選ぶ審査過程を明確に分けました。
まず一次審査・二次審査を経てグッドデザイン賞を選び、さらにその中から評価の高い対象100件を金賞等特別賞候補と位置づけて「グッドデザイン・ベスト100」とし、それぞれを10月1日に発表しました。この「グッドデザイン・ベスト100」を対象に特別賞審査を実施し、11月25日にグッドデザイン特別賞各賞を発表します。

受賞発表展の実施

受賞デザインの情報発信を促進するため、グッドデザイン賞全受賞デザインを展示し、一般に公開する受賞発表展「グッドデザインエキシビション」を11月23日〜25日の3日間にわたり実施します。最新年度のすべての受賞デザインを一同に出展する初の機会となります。

2012年度グッドデザイン賞実施スケジュール

2012年度グッドデザイン賞開催要綱等の公開(4月2日)
グッドデザイン賞のウェブサイトを通じて、2012年度の実施概要を公表しました。

グッドデザイン賞の応募受付、グッドデザイン・ロングライフデザイン賞の推薦受付期間(4月27日-6月1日)

一次審査期間(6月7日-25日)
応募された対象を複数の審査ユニットに分けて一次審査を行いました。

一次審査結果通知(6月26日)

二次審査期間(7月7日-9月14日)
幕張メッセでの二次審査会以外にも現地審査、プレゼンテーション審査などを実施しました。

二次審査会(会場:幕張メッセホール5・6)(7月24日〜26日)
一次審査を通過した対象現品やパネル等資料を用いた審査を実施しました。
審査1・2日目で領域別審査ユニットによる審査を行い、3日目は特別審査ユニットにより「インタラクション」と「仕組み」について、領域横断的に討議を行いました。
期間中に未発表審査およびプレゼンテーション審査を実施しました。
タイ・デザインエクセレンス賞との連携に基づく応募について、担当チームにより審査を実施しました。
領域別審査ユニット・特別審査ユニットで、「グッドデザイン・ベスト100」の候補を検討しました。

韓国二次審査会(8月21・22日)
韓国デザイン振興院の協力のもと、韓国から応募された対象について二次審査会を実施しました。

台湾二次審査会(8月23・24日)
台湾デザインセンターの協力のもと、台湾から応募された対象について二次審査会を実施しました。
深澤直人審査委員長の同席のもと、24日午後に現地での記者レクチャー、一般を対象とした深澤直人審査委員長の講演会を実施しました。

グッドデザイン賞確定会(9月10日)
正副委員長および、領域別ユニット、韓国・台湾ユニット、特別審査ユニットのユニット長により、二次審査結果の確定を行いました。
また、ベスト100について、ユニットで検討した対象について論議を行った上、審査委員長によって「「グッドデザイン・ベスト100」を決定しました。
ロングライフデザイン賞審査タスクフォースにより、候補の現品を審査の上、ロングライフデザイン賞を決定しました。

二次審査結果通知(9月14日)
グッドデザイン賞、グッドデザイン・ベスト100、ロングライフデザイン賞の各賞について、エントリーサイトを通じて受賞内定を応募者に通知しました。

受賞発表(10月1日)
2012年度グッドデザイン賞、グッドデザイン・ベスト100、ロングライフデザイン賞を発表しました(同日の発表ができない一部対象を除きました)。
2012年度グッドデザイン賞
グッドデザイン・ベスト100
ロングライフデザイン賞

グッドデザイン大賞候補発表(10月中旬)
本年度のグッドデザイン大賞候補を発表します。
グッドデザイン大賞候補

グッドデザイン・ベスト100 デザイナーズプレゼンテーション(11月2日〜4日)
グッドデザイン・ベスト100に選ばれた100件について、デザイナーによるプレゼンテーションを行います。
グッドデザイン・ベスト100 デザイナーズプレゼンテーション

グッドデザイン大賞投票(11月2日-11月25日)
この期間内で、審査委員、本年度グッドデザイン賞受賞者および受賞発表展来場者によるグッドデザイン大賞への投票を実施します。

特別賞審査会・表彰式(東京ビッグサイト東4ホール)(11月22日)
全審査委員およびゲスト審査委員を招集し、特別賞審査会を実施、すべての特別賞を確定します。
グッドデザイン賞表彰式を開催します。

グッドデザイン賞受賞発表展「グッドデザインエキシビション2012」(会場:東京ビッグサイト東4ホール)(11月23日〜25日)
2012年グッドデザイン賞全受賞対象を展示しました。
会場でグッドデザイン大賞候補への来場者投票を行いました。
グッドデザイン大賞を除く特別賞を11月25日に発表しました。
グッドデザインエキシビション2012

グッドデザイン特別賞表彰式(会場:リッツカールトン東京)(12月18日)
特別賞受賞者を表彰します。

受賞年鑑「GOOD DESIGN AWARD 2012」発刊(2013年3月)

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