GOOD DESIGN AWARD

グッドデザイン賞受賞概要

2015年度|メッセージ

主催者挨拶

公益財団法人日本デザイン振興会は、2015年度グッドデザイン賞の受賞結果を本日発表いたしました。グッドデザイン賞を受賞された皆様、まことにおめでとうございます。さらに本年度グッドデザイン賞へご参加いただきました皆様に心よりお礼を申し上げます。
本年度は、ここ10年来最多の3658件のデザインの中から昨年を上回る1337件がグッドデザイン賞を受賞されることとなりました。このことは、より多くの皆様がデザインに対して大きな期待を寄せるとともに、社会の中でデザインの果たす役割が益々大きくなってきていることを示しているものと思います。
この様なデザインをめぐる状況に適切に対応するため、本年度は永井一史さんを審査委員長、柴田文江さんを審査副委員長にお迎えした新しい審査体制のもと、海外委員12名を含む総勢80名の審査委員会を編成して3ヶ月間にわたる審査を行ってきました。審査の過程においては、新たな試みとして社会や私たち一人一人が解決しなければならない課題を12のフォーカス・イシューとしてとりまとめ、このフォーカス・イシューにデザインがどのように働きかけるかに目を向けることで、デザインの今日的な役割はもとより、これからの暮らしや社会をかたちづくる鍵や種となり得るものを見出すことに努めました。
また、引き続き、韓国、台湾、香港での審査を実施し、アジア各地で生み出されるデザインを現地との協業に基づいて評価することで、グローバルなデザイン力向上のための国際協力にも取り組んでいます。
さらに、震災復興支援の一環として2011年度以来継続している東北茨城地域への特例措置枠へも、多数のご応募をいただくとともに、日本の家具デザイン分野の活性化をめざして昨年度から開始した「グッドデザイン・ジャパニーズファニチャーセレクション」も、引き続き優れた家具デザインを選定することができました。
本日の受賞発表とともに、グッドデザイン賞はプロモーションという次の重要なステップに移行します。一つひとつのデザインに込められた真意、それぞれのデザインが見すえる課題を、受賞者の皆様とともにグッドデザイン賞を通じて社会と共有しながら、デザインが社会を前進させるうえで無くてはならないものであることを、様々な活動を通じて幅広くかつ力強く訴求してまいります。

グッドデザイン賞の主催者としては、多くの皆様に、受賞されたデザインをご覧いただき、その価値に触れていただくことで、私たちの未来をかたちづくるうえでデザインの果たす役割を発見する契機になることを願っています。
ぜひ引き続きグッドデザイン賞にご注目をいただきますようお願い申し上げます。

公益財団法人日本デザイン振興会
理事長 大井 篤

審査委員長挨拶

2015年度のグッドデザイン賞は、これまで以上に多くの方からご参加いただきました。デザインという概念が社会で広く扱われるようになり、さまざまな分野でデザインが見立てられるようになっているいま、グッドデザイン賞は社会とデザインとの関係を如実に反映しています。今回グッドデザイン賞に輝いたデザインを見ていただくと、デザインがこれからの人々の暮らしや産業を築いていくために取り組んでいること、いま人々がデザインに対して期待していることなどがお分かりになるかと思います。特に、デザインが社会の課題にいかに関わり、それらの質的な向上のために貢献ができるか、いわゆるイノベーションやソリューションをデザインがいかに導くかが問われている中で、グッドデザイン賞はひとつのモデルを示しているといえます。
今回のグッドデザイン賞では、デザインがいま向き合うべき重要な領域を「フォーカス・イシュー」として定め、さまざまな社会課題とデザインとの関わりに評価のポイントを置くととともに、応募されたデザインの意義や価値をこれまでにも増して深く読み解くことを心がけました。そのような姿勢で審査を進めてきた中で、いまのデザインの傾向として、大きな社会的イノベーションを志向する以上に、より日常性に根ざして、緩やかに身の回りのものごとをより良くしていくことを志向しているように感じられます。たとえば、全国各地に及んでいるデザインの取り組みや、NPOや自治体、教育機関など、多様な立場からデザインを活かそうとする意欲的な取り組みを今回のグッドデザイン賞でも数多く見出すことができました。
それらは、暮らしのさまざまな場面にある細かな凹凸を一つずつ平らにいなしていくかのような、ささやかな営みといえるかもしれません。同時に、一つひとつが単に閉じたデザインの動きとしてあるのでなく、同じ課題意識をもった者どうしがつながり、高め合うためにデザインを活かそうとする意志に支えられているとともに、それぞれの活動どうしもお互いに関わりあうことで、より大きな力となって社会へ波及していることも見逃せません。
デザインは決して規模やインパクトの大小で計られるべきものではなく、デザインが芽吹くところに社会の新たな可能性が生まれるのです。さまざまな活動の中にデザインのめざす理想と、そこに近づくためのデザインの具体的な方法論が息づいていること、それぞれのデザインがいま社会に対して訴求すべき内容を携えていることを、受賞した一つひとつのデザインを通じて理解していただければ幸いです。

2015年度グッドデザイン賞
審査委員長 永井 一史

2015年度グッドデザイン賞
審査副委員長 柴田 文江

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