受賞者インタビュー GOOD DESIGN MAKERS

グッドデザイン賞は、人によって創り出されるあらゆるものごとの「よいデザイン」を60年にわたり、顕彰し続けています。それらの「よいデザイン」は、どのような人の、どのようなきっかけ、どのような想いの元に生まれたのか。グッドデザインのはじまりをたずねます。

#01 製造と開発の仕組みをデザインする 電動義手 [HACKberry] 小西 哲哉氏 #02 ユーザーの声がつくるデザイン 高所作業用ランヤード[剣フック] 藤田 尊子氏 #03 産業存続のためのデザイン ビジネスモデル[播州刃物] 小林 新也氏 2017年度 グッドデザイン賞 応募について

#01 製造と開発の仕組みをデザインする 電動義手[HACKberry] 小西 哲哉氏(exiii株式会社)

ふとしたきっかけから、3Dプリンタの可能性を発見。

-まずは、受賞デザインが生まれたきっかけを教えてください。

僕らは3人のチームで活動しているのですが、代表の近藤が大学のときに義手の研究をしていまして。当時は耐久性やデザイン性よりも、とにかく機能を向上させようという研究が主流でした。でも、これはなかなか世の中に浸透していかないだろうと思い、一旦研究をやめて就職しました。そして、近藤の大学の先輩である山浦というメカエンジニアは、自宅に3Dプリンタを持っていて、機構設計の仕事をしながら個人的な趣味でも機構設計を行っていたんです。そのなかで、あるとき指の機構を3Dプリンタで出力して作り、SNSにあげたところ、それを見た近藤から連絡がきて「今だったら3Dプリンタなどのデジタルファブリケーションを使って、個人でも義手を作れるんじゃないか?」という話になって。さらにデザイナーも必要だということで山浦と会社の同僚だった僕も加わり、このプロジェクトが始まったんです。

マイナスをゼロに近づけるのではなく、プラスに変えるために。

-どんなデザインを目指して進めたのですか?

今までの電動義手は、1本150万円前後と高価で、日本国内の普及率は1.7%程度と低いものでした。また、デザインは人肌に似せたものが主流で、選択肢が少なかったんですが、実際にユーザーさんのなかには、手がないことを自分のアイデンティティとして受け入れている方もけっこういらっしゃいます。そういう方が自分の個性を表現するための道具として、義手をウエアラブルアイテムのひとつとして捉えてデザインしていこうという発想で、開発に取り組みました。従来の義手の研究開発は、どんなに機能向上を追求しても、結局は人のマイナスをゼロに近づけていく作業でしかありません。でも3Dプリンタで作るのであれば、指の中に機能を入れることも可能です。例えばsuicaやICチップを組み込めば、義手をつけていることで健常者よりもスマートに改札を抜けられたり、会計ができたりする。そうなれば、ある意味健常者を超えられますよね。ですから、マイナスをゼロを近づけるのではなくプラスにまで持っていける義手。それが僕たちの目指すものでした。さらに、設計データを全てオーブンソースにすることで、世界中のデザイナーやエンジニアによって改良され、開発スピードがあがる仕組みを考えました。

ただ、最初のうちは本当にこれを求めている人がいるのか? もしかしたらふざけていると思われるんじゃないか? という不安がありました。でも、世界のエンジニアに向けた国際コンペに応募し、入賞できたんですね。それがニュースとして取り上げられた結果、義手ユーザーの方からコンタクトがあり、「こういうのがほしかったんだよ」と言っていただけて。この一言で、自分たちのコンセプトは間違っていなかったのだとわかり、本格的に開発を進めようという気持ちが固まりました。

壁を取り払うきっかけになればいいなと思って。

-グッドデザイン賞に応募したきっかけは?

エンジニア向けの国際コンペで受賞した後、デザインアワードでも金賞をいただけたのですが、デザイン業界では知られているものの、一般にはあまり知られていなくて。その点、グッドデザイン賞なら一般の人の認知度も高いですし、「グッドデザイン賞をとった、イコール認められたデザインである」と言えれば、この義手をこれからつける人の自信につながると思うんです。その自信が生まれることにより、こういう義手をつけてみたいけど、ちょっと怖い…とか、他の人からどう見られるんだろう…という壁を取り払ってくれるきっかけになればいいなと思い応募しました。また僕ら自身も、デザイン賞のなかでは一番有名で価値ある賞だと思っていましたし、このプロジェクトを始める前からエンジニアやデザイナーとして、ひとつの目標でしたから。

労いが自信となり、コミュニティが広がっていく。

-受賞の感想や周りの反応は?また受賞したことで何か影響はありましたか?

デザインしたものが評価されるって、やっぱり嬉しいですよ。商業的にも効果があるとは思うんですけど、それ以上にデザイナー一人一人に対しての労いの言葉になるので。さらに気づきもありましたね。以前はグッドデザイン賞はモノの形に対して与えられるという考えがあったのですが、今年受賞してみて、それだけじゃないんだなと実感しました。僕らはこの義手の活動を、一つのストーリーを作り、それを実現するためにやってきているんですけど、そういった仕掛け作りや、ユーザーとやりとりしながらモノを作っていくこと、すべて含めて評価していただけたのだと思っています。

周囲の反応では、この義手をつけている方、作る方たちの自信になったと思います。僕らはミッションアームジャパンという手のない方たちが運営するNPO団体と一緒に活動しているんですが、そこの方たちが、自分たちでこの義手を作るために3Dプリンタを購入し、作ってみようとする人が増えてきたり。義手装具士さんっていう、義手を作る方が3Dプリンタの使い方を学び始めたりと、さまざまな方を巻き込んだコミュニティが広がっています。また、設計データをオープンにしていることで、世界中のエンジニアたちがコミュニティに入ってきて、受賞後もどんどん改良されています。今後はユーザーからのレビューも含め、コミュニティがさらに大きくなり、HACKberryを使う人が増えていってほしいですね。

デザインは、人の価値観さえ変える力を持っている。

-最後に、デザインとはあなたにとってどんな存在か教えてください。

この活動を始めてから、デザインに対する考え方が大きく変わりました。展示会などでユーザーの方と一緒にデモを行うのですが、この義手をつけていると「握手してください」ってみんなが集まってくるんです。でも、その方が普段つけている従来の人肌に似せた義手では、握手なんて求められないわけで。それは周りの健常者の人が、その手が義手だとわかった瞬間、かわいそうだね、という感覚になってしまう。でも、この義手をつけている方に対して、「かっこいい」とか「私もつけたい」とか言っているのを見て、健常者と障害者という垣根さえなくなっているように感じて。デザインって、こんなふうに人の価値観も変えられるかもしれない。すごい力を持っているんだと思うようになりました。

電動義手 [HACKberry]

  • 受賞企業exiii株式会社
  • プロデューサー近藤 玄大
    ディレクター小西 哲哉、山浦 博志
    デザイナー小西 哲哉
  • 2015年度 グッドデザイン・金賞

  • ベスト100デザイナーズ・プレゼンテーション
    [オープンソース電動義手「HACKberry」]

#02 ユーザーの声がつくるデザイン 高所作業用ランヤード [剣フック] 藤田 尊子氏(株式会社基陽)

「なんとか不便を解消したい」が出発点。

-まずは、受賞デザインが生まれたきっかけを教えてください。

建設というのは旧態依然とした業界で、従来のものを積極的に変えていこうとすることは滅多にありません。そんななかでも私たちは、ユーザーである職人の声に耳を傾け、より使いやすく役立つものを形にしていくことをモットーに、商品開発を行ってきました。全ての商品にアンケートハガキをつけて、そこに書き込まれたご意見を参考にしているのですが、高所建設現場で使われる命綱(安全帯)に関しては、「重い」「邪魔」といった批判の声ばかりが届いていました。でも、具体的にどうしたらいいという意見は書かれていなくて。たしかに命綱は、作業を行うために使う道具とは違い、その場所と自分の体を結びつけてしまうので、ある意味作業の邪魔をしてしまう道具といえます。だから、つけるのを嫌がる職人も多いんです。でも安全のためには絶対必要ですし、すべての職人につけてもらいたい。そこで、なんとかして皆さんが感じている不便を解消できないものか?どうしたらストレスなくつけてもらえるのかを、みんなで考えてみようと動き出したのが、開発のきっかけでした。

軽量、シンプル、見ずに使える、をすべて実現。

-どんなデザインを目指して進めたのですか?

命綱ですから、丈夫なのは当たり前です。そこからさらに、つけたくなる使いやすさとかっこよさを目指しました。落下防止ロープとつなげ、足場の単管にひっかけて使うフックの従来品は、移動中の架け替え時、とくに外すときに落下事故が起こっていました。その原因となっていたのが、開口部が狭く、かけ外しの際に指が当たってしまう操作の不便さでした。「慣れれば気にならない」という声もありますが、人間は感覚が発達していますから、少しのひっかかりでも手元に意識がいってしまいます。急いでいるときなど、ほんの一瞬意識がそれたことで狭い足場の上でバランスを崩し、落下事故につながるんです。業界ではその対策として、さらにもう1本フックをつける「2丁がけ」を推奨していましたが、それでは根本的な使いにくさの解消にはなっていません。そこで私たちは、サイズ調整を繰り返して形状を工夫し、全体を大きくすることなく開口部を広げて指のひっかかりをなくすことに成功。さらに、職人たちの負担になっていた重さも、鍛造アルミを使用することで従来フックの67%まで軽量化しました。また素材をアルミにしたことで自由成形が可能になり、金属では出しにくかったやわらかな丸みも意識。レバー部分は、滑りにくく手になじむ指の形に仕上げました。

母の何気ない呟きを聞き、一念発起!

-グッドデザイン賞に応募したきっかけは?

私の母が、ある日新聞を読んでいたときに、近くの会社がグッドデザイン賞を受賞し広告に載っているのを見て、「グッドデザイン賞とってはる! すごいね〜」と感心して言ったんです。この言葉を聞いて、ああ、グッドデザイン賞をとったら、お母さんは喜ばはんねんなと思いまして。その時すぐに、この安全帯とフックが浮かんだのですが、ただ安全帯って一般的には全く知られていない商品なのでどうかなぁと思いながら、次の日会社に行って「グッドデザイン賞とれるかな?」と相談してみたんです。そうしたら、会社のみんなが「とりましょう!!」と言ってくれたので、ダメもとの気持ちで応募しようということになりました。ですから、最初のきっかけは母の何気ない一言ですが、その後背中を押してくれたのは、社員のみんなです。受賞して、母はもちろん社員たちを喜ばせたいという思いで、応募時もプレゼン(グッドデザイン・ベスト100デザイナーズプレゼンテーション)にも一生懸命取り組みました。でもまさか本当に受賞できるとは、この時は夢にも思いませんでしたね。

意識と価値が高まり、勇気をもらえました。

-受賞の感想や周りの反応は?また受賞したことで何か影響はありましたか?

受賞の知らせをいただいた時は、もう大騒ぎでした(笑)。グッドデザイン賞といえば、大きな会社がとる、おしゃれで洗練された賞というイメージでしたから。しかも、金賞やグッドデザイン・ベスト100にまで選ばれて。嬉しかったです、本当に。

受賞して一番変わったのは、社内の意識だと思います。それまでは、「安全帯を作ってます」と周囲の人に話してもわかってもらえないことが多かったのですが、「グッドデザイン賞をとった商品を作っているんです」と言えば、多くの方が興味を示してくれて、説明しやすくなったのが大きいですね。また、販売店さんからの評価も高まりました。ただ商品の良さを説明するのとは違い、グッドデザイン賞で、審査委員の方にいただいた評価コメントをお伝えることで、バイヤーさんにとっての「仕入れる理由」「並べる理由」につながるようです。さらに、一見シンプルでなんでもないこのフックの、どこが評価されたんだろう?と、“しつこく見ていただける”商品になったのも、とてもありがたい影響です。このフックは、手にとっていただくことで良さが伝わる商品なので。

そして改めて感じているのは、応募したこと自体の価値です。応募の過程で、業界以外の人にどう説明したらわかってもらえるか考えることで、自分たちを客観的に見つめ直すことができましたし、受賞理由として、審査委員からいただいた「建設職人に対する愛を感じる」というコメントは、全社員の励みとなり、勇気をもらえました。

機能美を追求することで、職人たちの誇りを応援。

-最後に、デザインとはあなたにとってどんな存在か教えてください。

私たちが扱っている商品の特性上、デザイン(色や形)は後からついてくるものだと思っています。ご不満の声に応えるには、ご不満通り(指摘された部分だけを解消する)ではだめなんです。いただいたお声の、さらに上をいくものを作った時に、「機能美」ができあがるのだと思っています。そこが十分にクリアできた上で、もちろんおしゃれさも考えていますよ。建設現場で、誇りを秘めて働く職人たちに“ええかっこ”してほしい。それが全社員の願いですから。

高所作業用ランヤード [剣フック]

  • 受賞企業株式会社基陽
  • プロデューサー藤田 尊子
    ディレクター藤田 尊子
    デザイナー藤田 尊子
  • 2014年度 グッドデザイン・金賞

  • ベスト100デザイナーズ・プレゼンテーション
    [安全をデザインした墜落防止フック「駕王」]

#03 産業存続のためのデザイン ビジネスモデル [播州刃物] 小林 新也氏(合同会社シーラカンス食堂)

はじまりは、「世間が驚くようなハサミを」との依頼から。

-まずは、受賞デザインが生まれたきっかけを教えてください。

兵庫県小野市三木市、いわゆる播州地域は250年もの歴史を持つ刃物の産地です。しかし近年は材料屋、職人、地域問屋すべての分野で高齢化が進み、後継者不足が深刻な問題となっています。そんななか、世間の注目を集めることで産業の存続をはかろうと考えた地元の卸組合から、「これまでにない斬新なハサミをデザインしてほしい」という依頼を受けたことが最初のきっかけでした。

でもじつは、私も小野市で生まれ育ったのに、地元がこんな質の高い刃物を作る産地で、職人がたくさんいることをそれまで全く知らなかったんです。産地といっても下請け産業で、職人の名前はおろか小野という地名も表に出ることはなく、職人や問屋はすべて家内制で受け継がれていて、一般消費者は知る機会がなかったので。そんな何も知らない状態でしたから、まずは刃物づくりや業界の現状を知ることから始めました。ところが、職人さんや卸組合のメンバーからいろいろと情報を得ていくうちに、新しいハサミをデザインする必要性を全く感じなくなってしまって。なぜなら、いま存在している刃物は、長い年月をかけて作り手と使い手のキャッチボールによって生まれ、すでに素晴らしくデザインされているものばかり。新しい商品を作るよりも、今あるものをもう一度世の中に存在させていくことのほうが絶対に意味があると思ったんです。その想いを組合の皆さんに伝え、2013年からプロジェクトがスタートしました。

新たな販路の開拓と、業界の意識改革が大きな課題に。

-どんなデザイン(ビジネスモデル)を目指して進めたのですか?

目標は後継者を作り、伝統ある刃物づくりを未来に残すこと。そのために、そもそもなぜ今の状況に陥ったのかを考えたところ、まず単価が安いので数を作らなければ生き残っていけず、職人は時間にも経済的にも余裕がない。また、作った刃物は依頼主ごとにバラバラの名前で存在し、最終的にどこで売られているかもわからない“作りっぱなし”の市場になっていることが問題として見えてきました。それらを解決するには、もっと職人たちが前に出て、産地として認知されるようにする。いわゆるブランディングをはかっていくことが必要だと考えました。そこでまず、バラバラだった名前を、「播州刃物」と地域名を入れて統一。また安い紙製のパッケージから、商品が持つ価値に見合うよう桐の箱に変更。さらに、価格はそれまでの2〜3倍に設定し、作り手が誇りを持って商品を世の中に出せるようにしました。

しかし、いかに安く売るかを競ってきた業界の人たちにとってはとんでもないことで。最初のうちは「そんな高いものを一体誰が買うのか」と、不安に思う声が多数聞こえてきました。その根底には、売れなくなったのは商品が古臭いからだという決めつけや、自分たちの刃物はもう世の中に必要とされていないのではないかと自信を失い、本来の価値を見失っているという問題もあったんです。だから、この取り組みにより、問屋は高くても売れるという認識へ。職人は自分たちが作っている道具は、未来に残していくべき価値あるものだということを思い出すよう、業界全体で意識改革を行うことがとても重要な課題でした。

すべての伝統産業の参考になる、と思ったんです。

-グッドデザイン賞に応募したきっかけは?

審査委員会から推薦応募の呼びかけをいただいたんです。(※)僕自身、ブロダクトデザインをずっと学んできたので、グッドデザイン賞=プロダクトデザインみたいなイメージになってしまっていて。自分たちがやっている活動がデザインの一つだとわかってはいたものの、それをグッドデザイン賞に応募してみようとは考えたこともなかったんです。だから推薦の知らせが届いたときにハッとなりました。「これは面白い!」と。たしかに、僕たちがいまやっていることは、業界への影響だけでなく、伝統産業全般において参考にできるんじゃないかと思い、応募することにしました。

※グッドデザイン賞では審査委員による推薦応募制度が設けられている。応募要領はこちら
(4-3.審査委員による推薦応募 審査委員は、グッドデザイン賞に応募されていない対象について審査委員推薦として応募を呼びかけることができます。審査委員の推薦によって応募された対象は、一次審査を通過したものとみなし、二次審査の対象とします。二次審査は一般の応募対象と同様に審査を行います。)

注目されたことで、後継者育成の一歩を踏み出せた。

-受賞の感想や周りの反応は?また受賞したことで何か影響はありましたか?

国内外で認知されているグッドデザイン賞を受賞できたことは、多くの人に播州刃物に興味を持ってもらういいきっかけとなりました。一方で、グッドデザイン賞についてそこまで詳しく知らなかったこともあり、グッドデザイン賞のなかでも、グッドデザイン・ベスト100を受賞した価値を最初はよくわかっていなかったんです。実感が沸いたのは東京ミッドタウンでグッドデザイン・ベスト100の展示があったとき。有名どころや先進的な取り組み、プロダクトが並ぶなかに播州刃物が入っている様子を見て、ここに仲間入りさせてもらったのはすごいことだと、会場で改めて感動しました。

受賞による最大の影響は、待望の後継者が現れたことです。ただ、自分の息子を弟子として育てるのとは違い、外部から人を迎えて後継者を育てるには時間も手間もお金もかかります。そこを補うためには、市や県からの補助金などのサポートに頼りたいのが本音です。でも地味な下請け産地の業界で発信しても、なかなかそうした声は届きません。それがグッドデザイン賞を受賞したことにより、市や県に興味を持ってもらうきっかけとなり、実際に補助事業が生まれました。後継者問題についても、支援していただく話が進んでいます。当事者としては、受賞後、海外で評価される機会が増えたことよりも、近い環境にいる地元の人たちの意識が変わってきていることに大きな成果を感じています。

モノの形だけではなく、未来を創っていくということ。

-最後に、デザインとはあなたにとってどんな存在か教えてください。

受賞祝賀会のとき、グッドデザイン・ベスト100や特別賞を受賞した作品には、共通点があると気づいたんです。それは、現代の問題解決プラス、次の時代へとつながる作品が評価されているということ。そうした取り組みをしていくことがまさにデザインであって、綺麗にモノを作るとか、そういうことじゃない。すでに世の中にはモノや事例があふれかえっているなかで、今まさにグッドデザイン賞は21世紀型のデザインの定義を作っている段階だと思うんです。僕がはじめに思っていたプロダクトだけみたいなことではないんですよね。課題を解決し、未来を創っていく。その行為自体がデザインなのかなと、今は感じています。

ビジネスモデル [播州刃物]

  • 受賞企業小野金物卸商業協同組合
    合同会社シーラカンス食堂
  • プロデューサー合同会社シーラカンス食堂 小林 新也
    ディレクター小林 新也
    デザイナー小林 新也
  • 2015年度 グッドデザイン・ものづくりデザイン賞

  • ベスト100デザイナーズ・プレゼンテーション
    [意識改革がこれからをつくる。]