GOOD DESIGN AWARD

グッドデザイン賞受賞概要

2014年度|事業経緯

2014年度のグッドデザイン賞は、2013年度に引き続き、審査委員長 深澤直人氏、副委員長 佐藤卓氏の体制により実施しました。 審査開始にあたり深澤委員長からは、私たちの暮らしの様々な場面に存在する「心地」が、これまでグッドデザイン賞で重視してきた多くの要素が無意識のうちに咀嚼された高度な感覚であるとし、このような「心地」の質に積極的に目を向け、審査を行っていきたいとのメッセージが発表され、「心地」の質を重んじて審査に臨むことが提示されました。

グッドデザイン賞の審査理念
人間(HUMANITY)もの・ことづくりへの創発力
本質(HONESTY)現代社会への洞察力
創造(INNOVATION)未来を切り開く構想力
魅力(ESTHETICS)豊かな生活文化への想像力
倫理(ETHICS)社会・環境への思考力

グッドデザイン賞の審査の視点

人間的視点

  • 使いやすさ・分かりやすさ・親切さなど、ユーザーに対してしかるべき配慮が行われているか
  • 安全・安心・環境・身体的弱者など、信頼性を確保するための様々な配慮が行われているか
  • ユーザーから共感を得るデザインであるか
  • ユーザーの創造性を誘発するデザインであるか

産業的視点

  • 新技術・新素材などをたくみに利用、または創意工夫により課題を解決しているか
  • 的確な技術・方法・品質で合理的に設計・計画されているか
  • 新産業、新ビジネスの創出に貢献しているか

社会的視点

  • 新しい作法、ライフスタイル、コミュニケーションなど、新たな文化の創出に貢献しているか
  • 持続可能な社会の実現に対して貢献しているか
  • 新たな手法、概念、様式など、社会に対して新たな価値を提案しているか

本年度の事業方針

2014年度グッドデザイン賞は、2013年度事業の改善点を引き継ぎ、引き続き時宜に即した適正な審査の実施、受賞者利益の増大、広報機能の強化を目標として開催しました。改善の要点は以下の通りです。

審査の充実:

  • 昨年度に引き続き、全ての応募対象について「仕組み・インタラクション」の視点をもって審査を行うべく、特別審査ユニットを設置し横断的な審査を実施しました。
  • 審査の視点の一部見直しおよび審査のプロセスの明文化を行い、これらをまとめて「審査委員チュートリアルブック」として公開しました。また、それに伴い、応募カテゴリー、審査ユニット分類、応募記入項目の改善を行いました。
  • より的確な審査情報をもって審査に臨むことを目的に、昨年度実施した「対話型審査」を二次審査会2日目に前倒しして開催しました。

復興支援を目的とした特例措置の継続と強化:
2011年に日本を襲った東日本大震災からの復興を支援する目的で行ってきた応募費用およびGマーク使用料の減免措置を今年度も継続して実施しました。また、Gマーク使用料の減免措置については2011年度以降の受賞者に限られていましたが、これを拡充し、2011年度以前の受賞者に対してもこれを適用しました。

アジアにおけるグッドデザイン賞のプレゼンスの向上:
昨年度来より行ってきたタイ、インド、シンガポールとのデザイン賞連携および日本アセアンセンターとの共同事業によるベトナム・カンボジア・ラオス・ミャンマーとの連携、「グッドデザイン賞 メコンデザインセレクション」を本年度も実施しました。
2012年度より行ってきた台湾、韓国、香港における現地審査を本年度も開催するとともに、現地審査委員の拡充を行いました。

2014年度グッドデザイン賞実施スケジュール

2014年度グッドデザイン賞開催要綱等の公開(4月2日)
グッドデザイン賞のウェブサイトを通じて、2014年度の実施概要を公表しました。

グッドデザイン賞の応募受付期間(4月15日-6月10日)

一次審査期間(6月18日-7月14日)
応募された対象を複数の審査ユニットに分けて一次審査を行いました。
2014年度グッドデザイン賞 審査委員インタビュー(一次審査会終了後)

一次審査結果通知(7月15日)

二次審査期間(7月24日-9月9日)
幕張メッセでの二次審査会、海外現地審査、応募者等の要望に基づく審査などを実施しました。

二次審査会(会場:東京ビッグサイト東5・6ホール)( 8月26日-28日)
一次審査を通過した対象について、現品やパネル等資料を用いた二次審査を実施しました。
審査1・3日目は非公開での審査を行い、2日目は審査を希望する応募者が来場し「対話型審査」を実施しました。また、会期中に未発表審査およびプレゼンテーション審査を実施しました。
タイ・インド・シンガポールとのデザイン賞連携に基づく応募、および日本アセアンセンターとの共同企画である「メコンデザインセレクション」について、担当ユニットが審査を実施しました。
各ユニットから推薦された「グッドデザイン・ベスト100」候補について、審査委員長、審査副委員長、特別審査ユニットで確認しました。

台湾二次審査会(8月4・5日)
台湾デザインセンターの協力のもと、台湾から応募された対象について二次審査会を実施しました。
期間中には対話型審査を実施し、グッドデザイン・ベスト100候補を選びました。

韓国二次審査会(8月5・6日)
韓国デザイン振興院の協力のもと、韓国から応募された対象について二次審査会を実施しました。
期間中には対話型審査を実施し、グッドデザイン・ベスト100候補を選びました。

香港二次審査会(8月12・13日)
香港デザインセンターの協力のもと、香港および中国から応募された対象の一部について二次審査会を実施しました。 期間中には対話型審査を実施し、グッドデザイン・ベスト100候補を検討しました。

新潟二次審査会(8月19日)
「応募者等の要望に基づいた二次審査会の実施」規定に基づき、一般財団法人燕三条地場産業振興センターがとりまとめ、新潟県からの応募について二次審査会を実施しました。
期間中には対話型審査を実施し、グッドデザイン・ベスト100候補を選びました。

グッドデザイン賞確定会および「グッドデザイン・ベスト100」選定会(9月4日)
審査委員長、審査副委員長、および、二次審査ユニットの全ユニット長により、二次審査結果の確定を行いました。
その後、審査委員長、審査副委員長、および、二次審査ユニットの全ユニット長、特別審査ユニット審査委員の合議により、各ユニットから推薦された対象からグッドデザイン・ベスト100を決定しました。また、決定した「グッドデザイン・ベスト100」の中から、審査委員長、審査副委員長、特別審査ユニット審査委員の合議により「大賞候補」を選出しました。

二次審査結果通知(9月10日)
グッドデザイン賞、グッドデザイン・ベスト100について、エントリーサイトを通じて審査結果を応募者に通知しました。

グッドデザイン大賞候補通知(9月28日)
グッドデザイン大賞候補について、該当応募者にグッドデザイン大賞候補の旨を通知しました。

受賞発表(10月1日)
2014年度グッドデザイン賞、グッドデザイン・ベスト100、グッドデザイン大賞候補を発表しました。
グッドデザイン・ベスト100
グッドデザイン大賞候補

グッドデザイン・ベスト100 デザイナーズプレゼンテーション(10月11日-13日)
グッドデザイン・ベスト100に選ばれた100件について、デザイナーによるプレゼンテーションを行いました。
グッドデザイン・ベスト100 デザイナーズプレゼンテーション

グッドデザイン賞受賞展「グッドデザインエキシビション2014[G展]」(会場:東京ミッドタウン)(10月31日-11月4日)
2014年グッドデザイン賞全受賞対象を展示し、本年のデザインにまつわる様々なイベントを行いました。
グッドデザインエキシビション2014[G展]

グッドデザイン特別賞審査会(10月30日)
全審査委員およびゲスト審査委員を招集の上、特別賞審査会を実施し、すべての特別賞を確定しました。

グッドデザイン大賞投票(10月31日-11月3日)
受賞展来場者によるグッドデザイン大賞への投票を実施しました。

グッドデザイン賞表彰式・グッドデザイン大賞選出(11月4日)
ザ・リッツ・カールトン東京にて2014年度グッドデザイン賞の表彰式を開催しました。また、グッドデザイン大賞への受賞者・審査委員による大賞投票を実施し、受賞展来場者の投票結果を合わせてグッドデザイン大賞の選出を行いました。

受賞年鑑「GOOD DESIGN AWARD 2014」発刊(2015年3月)

2014年度ロングライフデザイン賞実施スケジュール

ロングライフデザイン賞実施要領公開(4月15日)
本年よりグッドデザイン賞から独立して実施するロングライフデザイン賞の実施要領および審査委員をグッドデザイン賞ウェブサイトにて発表しました。

一般からの推薦期間(4月15日-6月10日)
グッドデザイン賞ウェブサイトにて、商品のユーザーおよびデザイナー、企業からの推薦を受け付けました。

審査対象の決定(7月7日)
ロングライフデザイン賞審査委員により、推薦されたデザインの中から、審査対象を決定しました。

事業主体企業からの応募締切(7月23日)
決定した審査対象について、主体企業からのロングライフデザイン賞への応募を締め切りました。

ロングライフデザイン賞候補の展示と一般からのメッセージ募集(8月1日-8月20日)
グッドデザイン賞ウェブサイトにてロングライフデザイン賞の審査対象(ロングライフデザイン賞候補)を表示し、一般からのメッセージを受け付けました。

ロングライフデザイン賞審査会(8月26日-8月28日)
グッドデザイン賞二次審査会場にて、ロングライフデザイン賞審査委員により現品やパネル等資料を用いた現品審査を行い、ロングライフデザイン賞を決定しました。

ロングライフデザイン賞受賞発表(10月1日)
2014年度ロングライフデザイン賞を発表しました。
グッドデザイン・ロングライフデザイン賞

ロングライフデザイン賞受賞展示会(10月31日-11月3日)
渋谷ヒカリエ8F「8/」にて、ロングライフデザイン賞受賞デザインの展示会を行いました。

ロングライフデザイン賞表彰式(11月2日)
展示会会場にて2014年度グッドデザイン賞の表彰式を開催しました。

受賞年鑑の発刊(2015年3月)
2014年度グッドデザイン賞受賞年鑑に、ロングライフデザイン賞全受賞デザインを掲載します。

審査委員長挨拶(2014年4月15日公開)

-「心地」の質-

デザインがその価値を認められて社会の中で活かされるために、デザインはつねに人とものごととのよい関係づくりを担うべきであると考えます。社会においてサービスやコンテンツ、ネットワークといった機能のプライオリティがますます高くなるに伴って、デザインの役割も進化しています。私たちはもはやものの存在を介することなく、さまざまな手法で簡単に必要な機能を得ることができるようになっています。それだけ身の回りに洗練された、使い勝手が高められた機能が増えてきているとも考えられますが、同時にこれまでになかった新しい機能も数多く公共的に提供されるようになり、人々がそれらの機能をいかに有効に活用できるかもまた問われています。

そのような状況で、デザインの役割として重要になるのが機能と人とをつなぐことです。サービスもコンテンツもネットワークも、それぞれの機能は人々が目的や目標を達成するための手段であり、その達成に向けた道筋がどれだけ明瞭であるか、スムーズでよどみのないものになっているかによって、人々の生活環境は大きく変化します。そして私たちは、使いやすくて快適に感じられる手段=機能を得たときに、ある種の心地のよさを覚えます。

私たちの暮らしの場面には、居心地、乗り心地、住み心地・・さまざまな「心地」が顕在化しています。そうした心地とは、これまでグッドデザイン賞で重視してきた、適正であること、使いやすいこと、全体との関わりの中でもたらされる美しさといった多くの要素が無意識のうちに咀嚼された結果、感じ取ることができる、自然でありながらとても高度な感覚である気がします。このような「心地」の質に、グッドデザイン賞は積極的に目を向けたいと思います。

機能と人間との関係を見すえ、人々にもたらされる質に対するまなざしを携えることで、多くの人が「心地よく」暮らすことができる社会の像が見えてくるのではないかと考えています。

深澤 直人

2014年度グッドデザイン賞審査委員長
深澤 直人


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