グッドデザイン賞受賞概要

2019年度|事業経緯

2019年度グッドデザイン賞は、審査委員長に柴田文江氏、審査副委員長に齊藤精一氏をお迎えしました。審査を始めるにあたって、「美しさ、そして共振する力」というメッセージによって、なお一層の審査の質の向上を目指すとともに、デザインの可能性に目を向け、広げる意識を持って審査に臨もうとの方針が示されました。

グッドデザイン賞の審査理念
人間(HUMANITY)もの・ことづくりへの創発力
本質(HONESTY)現代社会への洞察力
創造(INNOVATION)未来を切り開く構想力
魅力(ESTHETICS)豊かな生活文化への想像力
倫理(ETHICS)社会・環境への思考力

グッドデザイン賞の審査の視点

人間的視点

  • 使いやすさ・分かりやすさ・親切さなど、ユーザーに対してしかるべき配慮が行われているか
  • 安全・安心・環境・身体的弱者など、信頼性を確保するための様々な配慮が行われているか
  • ユーザーから共感を得るデザインであるか
  • 魅力を有し、ユーザーの創造性を誘発するデザインであるか

産業的視点

  • 新技術・新素材などを利用または創意工夫によりたくみに課題を解決しているか
  • 的確な技術・方法・品質で合理的に設計・計画されているか
  • 新産業、新ビジネスの創出に貢献しているか

社会的視点

  • 新しい作法、ライフスタイル、コミュニケーションなど、新たな文化の創出に貢献しているか
  • 持続可能な社会の実現に対して貢献しているか
  • 新たな手法、概念、様式など、社会に対して新たな価値を提案しているか

時間的視点

  • 過去の文脈や蓄積を活かし、新たな価値を提案しているか
  • 中・長期的な観点から持続可能性の高い提案が行われているか
  • 時代に即した改善を継続しているか

本年度の事業方針

2019年度グッドデザイン賞も「発見・共有・創造」のプロセスを更に強化し、より広く社会にひらかれた賞とすることを目標として開催しました。要点は以下の通りです。

新たな応募対象領域とグローバル化の促進

デザインの領域や定義は年々拡大しており、従来デザインとは認識されていないものの中にも優れたデザインが存在しています。また、世界は日々動いており、新たなビジネスや事業分野が生まれています。それらの情報を逃さぬよう収集し、グッドデザイン賞への応募のお声がけにつとめました。また、近年増々勢いを増している中国をはじめ、特に応募の多い台湾や韓国では応募説明会なども積極的に行い、グッドデザイン賞の趣旨や審査の視点などについて丁寧に説明を行いました。

グッドデザイン賞を通じた人材育成プログラムの確立

グッドデザイン賞は、毎年そのプロセスから最先端のデザインを知ることができるだけでなく、60年以上に渡って蓄積されているアーカイブの宝庫でもあります。これらを活用し、審査会のアシスタントを学生のインターンシッププログラムとして実施しています。2019年度は、参加する大学や学部の数を増やして、全国から幅広い領域の学生に体験の機会を提供しました。
また、第57回宣伝会議賞 中高生部門に課題提供し、中高生に「グッドデザイン賞ってどんな賞?」を伝えるキャッチフレーズを募集。若年層の認知度向上にも努めました。

受賞展をすべての人々に

本年度の受賞対象全件を展示する「受賞展」を、今年からどなたでもお入りいただけるように入場無料としました。同時期にGOOD DESIGN Marunouchiや、東京ミッドタウン・デザインハブで開催される関連イベントとともに、受賞者やデザインの関係者のみにとどまらず、広く一般の方にも気軽に見学していただき、デザインに親しんでいただけるように、ひらかれた受賞展示を目指しました。

2019年度グッドデザイン賞 要綱・要領

2019年度グッドデザイン賞開催要綱 (PDF/263KB)
2019年度グッドデザイン賞応募要領 (PDF/280KB)
2019年度グッドデザイン賞審査要領 (PDF/242KB)
2019年度グッドデザイン大賞選出規則 (PDF/194KB)
2019年度Gマーク使用要領 (PDF/227KB)
2019年度グッドデザイン受賞展開催要領 (PDF/221KB)

2019年度グッドデザイン賞実施スケジュール

グッドデザイン賞の応募受付期間(4月3日 - 5月23日)

一次審査期間(5月24日 - 6月26日)
応募された対象を複数の審査ユニットに分けて一次審査を行いました。

一次審査結果通知(6月27日)

二次審査期間(7月5日 - 9月3日)
幕張メッセでの二次審査会、海外現地審査などを実施しました。

二次審査会(会場:幕張メッセ 9〜11ホール)(7月30日 - 8月1日)
一次審査を通過した対象について、現品やパネル等資料を用いた二次審査を実施しました。
審査1・3日目は非公開での審査を行い、2日目は審査を希望する応募者が来場し「対話型審査」を実施しました。また、会期中に未発表審査およびプレゼンテーション審査を実施しました。
タイ・インド・シンガポール・トルコ・インドネシアとのデザイン賞連携に基づく応募について、担当ユニットが審査を実施しました。
各ユニットから推薦された「グッドデザイン・ベスト100」候補について、審査委員長、審査副委員長、各ユニットリーダー、フォーカス・イシュー・ディレクターで確認しました。

香港二次審査会(8月6日 – 8日)
香港および中国から応募された対象の一部について二次審査会を実施しました。
期間中には対話型審査を実施し、グッドデザイン・ベスト100候補を選びました。

韓国二次審査会(8月8日・9日)
韓国から応募された対象について二次審査会を実施しました。
期間中には対話型審査を実施し、グッドデザイン・ベスト100候補を選びました。

台湾二次審査会(8月13日 – 15日)
台湾から応募された対象について二次審査会を実施しました。
期間中には対話型審査を実施し、グッドデザイン・ベスト100候補を選びました。

グッドデザイン賞確定会および「グッドデザイン・ベスト100」選考会(8月21日)
審査委員長、審査副委員長、各ユニットリーダーにより、二次審査結果の確定を行いました。
その後、審査委員長、審査副委員長および各ユニットリーダー、フォーカス・イシュー・ディレクターの合議により、各ユニットから推薦された候補対象からグッドデザイン・ベスト100を決定しました。

二次審査結果通知(9月4日)
グッドデザイン賞、グッドデザイン・ベスト100について、エントリーサイトを通じて審査結果を応募者に通知しました。

受賞発表(10月2日)
2019年度グッドデザイン賞およびグッドデザイン・ベスト100を発表しました。
グッドデザイン・ベスト100

私の選んだ一品2019(会場:東京ミッドタウン・デザインハブ)(10月2日 – 25日)
私の選んだ一品2019

特別賞審査会(10月9日)
ベスト100プレゼンテーション公開審査

グッドデザイン賞受賞祝賀会・グッドデザイン大賞選出(10月31日)

グッドデザイン大賞、特別賞発表(10月31日)

グッドデザイン賞受賞展「GOOD DESIGN EXHIBITION 2019」(会場:東京ミッドタウン各所)(10月31日 – 11月4日)
GOOD DESIGN EXHIBITION 2019

受賞年鑑「GOOD DESIGN AWARD 2019」発刊(2020年3月)

審査委員長挨拶(2019年4月3日公開)

美しさ、そして共振する力

いま、私たちはさまざまな変化の到来を目前にしています。時代の大きな変動とともに、私たち自身が変化の担い手として、暮らしや社会のあり方に積極的に働きかけていくことが望まれています。
「今より何かを少しでも良くしたい」人のそのような想いを起点としながら、実像を導いていくのが、デザインという営みです。例えばそれがひとつの小さなモノであっても、デザインの対象として向き合うことによって、生活者に対してどのような素晴らしい体験を届けられるかをイメージしたり、開発・製造や流通を担う人への配慮を行ったり、環境への負荷をなるべく減少させることに取り組んだりと、理想に近づくためにさまざまなアプローチを辿りながら具現化ができるのです。
そのうえで、美しい対象として人々に伝わることがデザインには求められます。デザインに備わる美しさとは、いわば携わった人の理念や意識や試行錯誤が積み重なり、洗練された結果、表出するものです。だからこそ、私たちはデザインの美しさを通じてさまざまなことを感じ取り、見出すことができます。さらに、人々の共感を呼び覚まし、望ましい変化をもたらしていくための「共振力」と言うべき力を得ることができるのではないでしょうか。
しさに表象される、人の想いや意志を、どれだけ豊かな解像度で読み解いていけるか。そして、より多くの人へと伝わる、共振する力を引き出していけるか。グッドデザイン賞は今年度も、皆さまと共にデザインの可能性に目を向け、広げることに取り組みたいと思います。多くの皆さまからのご参加をお待ちしています。

柴田 文江

2019年度グッドデザイン賞
審査委員長 柴田 文江

齋藤 精一

2019年度グッドデザイン賞
審査副委員長 齋藤 精一