GOOD DESIGN AWARD

グッドデザイン賞受賞概要

2014年度|私の選んだ一品 2014

「私たちの暮らしを豊かに導くよいデザイン」を社会に広めていく取り組みとして知られているグッドデザイン賞は、どのような人たちによって選ばれているかご存知ですか。第一線で活躍するデザイナーをはじめ、建築家やデザイン教育に携わる学者などデザイン分野に深く関わる人はもちろん、マーケティングやメディアの関係者、さらに皆さんがよく知っている企業の経営者なども審査に関わっています。これはグッドデザイン賞が、デザインというものは特定の専門家や特別な感覚をもった人だけが享受できるのではなく、社会の中であまねくその価値を発揮して、多くの人に受け入れられるべきと考えていることのあらわれなのです。
実際のグッドデザイン賞の審査は、多彩なバックボーンをもった委員たちの積極的な議論と判断によって進められますが、その過程で審査委員ひとりひとりにとって、特に強く印象に残ったもの、興味を引かれたものが存在します。そんな「一品」をご紹介します。
今年度の審査を担当した国内外の71名の審査委員により見出された一品は、毎日の暮らしで役に立つもの、産業の現場で効果を発揮するもの、新しいコミュニティをかたちづくるためのものなど、社会のあらゆる場面で活かされ、大切な役目を担っているデザインです。それぞれの審査委員の目線を通じて、皆様にデザインの多様性と可能性、魅力を感じ取っていただければ幸いです。

この情報は、東京ミッドタウン・デザインハブで2014年10月に開催された「私の選んだ一品2014」展の内容を再構成したものです。
「私の選んだ一品2014」展

誰もが持っている感覚の記憶

セロハンテープからアセテートを使ったメンディングテープに至り、ともに日常使いのテープの典型を生み出した技術力の高さと使用者の要求に答えた品質は、誰もが認めるテープの定番を築きました。 テープ自体の品質もさることながら、カタツムリのような形のディスペンサーは手に優しい丸みを帯びた愛らしい形の典型にもなりました。さらにスコッチのイメージをはっきりとユーザーに伝えるチェックの柄も独自の強いアイデンティティーとなっています。ディスペンサーの真ん中の穴に指が滑り込んでテープを引き出す様はすでに誰もが感覚の記憶として持っているもので、五十年以上経っても変わらないロングライフデザインたる名品のわけがそこにあると思います。

深澤 直人Naoto Fukasawa

事務用粘着テープ
スコッチ®メンディングテープ
Adhesive Tape
Scotch®Mending tape

1925年にマスキングテープを開発したことから始まるスコッチ® 粘着テープは、その後セロハンテープの開発を経て、アセテート・フィルムを基材に使ったハイクオリティなメンディングテープの開発に至りました。貼るとテープ部分がほとんど見えなくなる上質な仕上がりと、テープの上からでも文字が書ける点、変質・変色しにくく、長期の保存性にも優れている点は、特に高く評価されているポイントです。また、コピー時にテープの影が残らない点はオフィスワーカーをはじめとする職場での使用時に評価されている一方、テープが目立たず工作やラッピングなどプライベートでの使用時にも大変便利と、50年以上に渡ってご支持いただいています。

スリーエム ジャパン株式会社 3M Japan Ltd.

デザイナーとして嬉しい「名作」

大塚のカロリーメイトが、今年ロングライフデザイン賞に決まりました。当然のことでしょう。こんなに素晴らしいデザインが世の中に在り続けているということが、デザイナーとしてとても嬉しいのです。私は個人的に、大塚のカロリーメイトは、日本のパッケージデザインの名作だと思っています。そして中身、つまり商品としても名作だから、今でもデザインを変えずに残っているのでしょう。 自分自身、今でも時間のない昼食時やスポーツの後などにしばしばお世話になっています。生活の一部化していると言っても過言ではありません。商品として、パッケージデザインとして、そしてロゴタイプのお手本として、今でもひとつの指標になっています。

佐藤 卓Taku Satoh

栄養調整食品
カロリーメイト ブロック
NUTRITIONALLY BALANCED FOOD
CALORIE MATE

身体に必要な5大栄養素(タンパク質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラル)がいつでもどこでも手軽に摂れるバランス栄養食カロリーメイトは、ライフスタイルの変化により朝食欠食や栄養の偏りが問題視されはじめた1983年に発売されました。医療現場の濃厚流動食をルーツとし、コンパクトで手軽に食べられる宇宙食をヒントに開発された製品は、優れた栄養価と利便性によって、現在、生活の様々なシーンで多くの方々の健康をサポートしています。

大塚製薬株式会社 Otsuka Pharmaceutical Co., Ltd.

最適に設計することの大切さ

3ML-M11 は、フォークリフト型の無人搬送車で、フォークの方向と直角に走行できることが特徴だ。それによって積み降ろし後の方向転換が不要となり、時間とスペースを効率化する。無人のものは他にもあるが、多くは有人操作車と同様にフォークの稼動と走行が同じ方向で、毎回の方向転換を必要とする中途半端なものだ。それは有人操作を自動に置き換えただけの安易な開発の結果だと思われる。 自動化やロボット化が進むなかで、有人操作を単に自動に置き換えることと、一から最適設計をすることでは結果が大きく異なる。開発においてこのアプローチの違いは大きく、早い段階で見極めることが重要になる。既成概念に捕われない柔軟な開発姿勢が評価される。

朝倉 重徳Shigenori Asakura

無人搬送車
3ML-M11
Automated guided vehicle
3ML-M11

パレット搬送に適したフォークリフトタイプの無人搬送車です。地上にコンベアなどの設備を置かなくとも本製品だけで搬送の自動化を実現。前後進のみの自動搬送車では転回し向きを変えないとアクセスできなかった2.4mの通路幅でも、全方位走行とフォークのリーチ機能により横並びのラックにスムースにアクセス可能。搬送時はパレットをリーチ機能により無人搬送車両内に引き込み、さらに全周囲に障害物センサとバンパーを設けることで安全性を向上させました。走行・昇降を全てモータで行う電動式なので油で床面を汚す心配がありません。

株式会社明電舎 MEIDENSHA CORPORATION

祖父のルーペを思い出す

子供の頃、祖父の読書用の四角い大きなルーペは、私にとって虫や草花を観察する道具でした。ナイツの拡大読書器NVS-X1 にも、祖父のルーペのような汎用性を感じます。
洗練されたカタチ、軽やかな配色には、機能優先の福祉機器のイメージがないからです。
ボタン類のレイアウトや動きも身体感覚に合っているため操作も簡単。思わず子供の頃の私と祖父が一緒にこのツールを使っている風景を想像しました。ルーペと違い、お互いが見ている世界を共有できるNVS-X1 のディスプレイを見ながら楽しく会話したに違いありません。このツールのように、障害者と健常者という垣根を取り除き、互いをつなぐデザインに私も注力しなければと思いました。

安次富 隆Takashi Ashitomi

拡大読書器
ナイツ据え置き型拡大読書器 NVS-X1
Video Magnifier
Neitz Magnifier NVS-X1

拡大読書器は、弱視者や視覚に障害を持つ人のために、可動式テーブルの上に置いたものをカメラで撮影し、ディスプレイに拡大して映し出し、読み書きをしやすくするための道具です。 英語ではVideo Magnifierと呼ばれる通り、ビデオカメラを用いた拡大鏡です。 ユーザーはこれを使って本を読むだけでなく、手紙を書き、爪を切り、スマートフォンやタブレットを操作しています。 これまでの拡大読書器は読むことだけに重点を置き、書くことに対しては積極的な工夫がありませんでした。本製品は、ディスプレイの昇降装置に工夫を凝らし、読みやすさだけでなく自然な姿勢での書きやすさを実現しました。

株式会社ナイツ NEITZ INSTRUMENTS CO., LTD.

優しい家具のような

第一印象は優しい家具。ブナ材のナチュラルな木肌色が優しく明るい雰囲気を与えてくれる。合わせたクッションがダークブラウン色であることも、インテリア性を意識し、部屋の中に置かれたときに和室でも洋室でも違和感が少ないことは利用者に喜ばしい。
触れることを考慮した各パーツは、曲線カットや曲げが優しさを感じさせる。背面の持ち手と素材までも統一し、見た目の大切さを貫いている。使用する子どもと親、両方の喜びを考えて高度な機能と広い適応性を両立させている。

五十嵐 久枝Hisae Igarashi

座位保持装置
ハートリーフ ジェイフィット
Seating systems
Heart Leaf JFit

このJFitは脳性麻痺の子ども向け座位保持装置である。脳性麻痺患者は一般の椅子では姿勢を保持できず、座ることができない。今までの座位保持装置はオーダーで製作するものは見た目のクオリティに問題があり、汎用品は姿勢保持能力に問題があった。JFitは高い座位保持機能と広い適合性を両立させ、使用する子どもと親の両方が喜べる座位保持装置である。

川村義肢株式会社 KAWAMURA GISHI CO.,LTD.

道具と創造的に付き合おう

鉄鍋は錆びやすく重たい。二十世紀を通してデザインは生活の不便さを解消し、面倒から人びとを解放することに力を注いだ。気配りの行き届いた道具は、だれもが手軽に使えるようになった半面、道具と用途を一対一の退屈な関係に押し込めた。
釜定の洋鍋は、二十世紀のデザインの趨勢に反して潔い。まず蓋がない。鍋を持ち上げるときは、熱くないタイミングを見はからって木の取手を差し込む。使用後は、すぐに洗って乾かす。面倒の対価は、鉄が蓄えた熱で調理した食材の味わいと、道具と創造的に付き合う楽しみだ。伝統的な南部鉄器とモダンなフォルムの融合は、発売から三十年以上を経てもなお魅力的である。

池田 美奈子Minako Ikeda

洋鍋
洋鍋(大・中)
Stewpot
Stewpot (L.M)

和洋を問わずあらゆる調理に対応出来るような形状をもち、取手に木材を使用することにより鍋を持ち上げる際に熱くなく、また取り外しが可能であることから調理の邪魔にならない機能性を考慮して、南部鉄器の技法を用い製作されている。

釜定 Kamasada Casting Studio

これも教育現場のデザイン・イノベーション

机とセットで使用される講義椅子の多くは、後方机にセッティングされる椅子を開閉する仕様であり、着席時の振動が後方に座る人にも伝わって互いに気を遣う構造であった。
講義椅子SCF-5105 は、その課題を解決した床自立型の講義椅子であり、通常は前方斜めに傾く支柱によって通路幅を確保し、着席時には体の重みでほぼ水平に座面が移動することで安定した座り心地を確保する。また、離席時にはダンパーが機能することで、気持ちよく自動収納されて講義室の整然さを維持する。機能美を有する端正なフォルムや質感とともに、教育現場におけるデザインイノベーションを実現した製品である。

池村 明生Akio Ikemura

講義用椅子
SCF-5105-7
Lecture Chair
SCF-5105-7

主に教育施設で使用される床固定式の講義用椅子。前後搖動式の座席は、人が座った状態のままで前方へ移動することが出来、座席後方に広い通路が確保出来る。樹脂成型品の背座とそれを支えるアルミフレームは、異素材同士でありながら同一の面やラインで繋がっており、製品としての統一感が生まれている。背座は座り心地を考慮した人間工学に基づいた三次曲面で構成されている。脚フレームはアルミダイカスト製であり、強度と高品位な意匠を兼ね備えた合理的構造となっている。離席時の収納動作はスムースでありながら、最後は緩やかに収まり安心感を与えられる。

愛知株式会社 AICHI CO.,LTD.

積み上げるのは地域と個人の関係

「石(物体)」「積み(行為)」「学校(制度)」と、このタイトルのなかに、プロジェクトの本質が端的に表現されています。このストレートなネーミングも、石積みという作業労働の結果がそのまま農村景観の修復に直接反映され、個人の身体と地域とが参加の達成感によって結びつく仕組みも、とてもいいと思いました。
地域にこの活動を呼びかけることで、伝統技術を無形文化財的に保存するだけでなく、散逸している、しかしまだ残っている技術保有者や取得希望者を発掘するメディアとして効果を上げている点も素晴らしいです。より多くの地域が、これに啓発されるといいなと思いました。

石川 初Hajime Ishikawa

景観保全プロジェクト
石積み学校
Project of Conservation of Rural Landscape
The School of Rubblework

「石積み学校」とは、石積み技術を持つ人・習いたい人・直してほしい田畑を持つ人の3者をマッチングし講座を開催する仕組み。修復出来なくて困っている人の田畑で、実際の修復作業を通じて技術を習うことで、技術の継承と修復のボランティアを同時に行う複合的な目的を持つ。受講生は受講料を払って参加し、この収入で講師料や事務局の必要経費等をまかなう。これにより小さな経済を生み、持続可能性のあるシステムとしている。幾世代にもわたって農民の間に伝えられてきたが現在はほぼ途絶えている石積みの技術を新しい形で継承することで、中山間地の資源であり文化である棚田や段畑の風景を技術の面から支えようとするものである。

石積み学校 The School of Rubblework

伝統の継承・新しい時代の色

伝統を引き継ぐこと。そして、そこに新しい価値も感じさせること。その二つを同時に叶えることは難しい。マクミラン/イセタン紙手提げ袋は、半世紀以上使用されてきたタータンチェックをざっくり大柄にしたサイズ調整と微妙な癖をつけた色調整、さらに表にプリントされていたロゴを袋の内側に隠すなど、慎ましやかな調整を経て袋としての佇まいを磨き直している。これにより、今まで受け入れられてきたユーザーからの期待を受け止めながら、新しい時代の色を感じさせるモノへと進化した。その点が素晴らしいと思えた。

色部 義昭Yoshiaki Irobe

紙手提袋
伊勢丹「マクミラン/イセタン」紙手提袋
Paper shopping bag
isetan MacMillan / Isetan Paper shopping bag

2012年秋に長年にわたり日本におけるタータンのプロモーションに貢献したとして、スコットランドタータン協会からタータン・アワードを世界で初めて受賞しました。伊勢丹のショッピングバッグは、1958年当時ティーンエイジャーショップで人気であった『マクミラン/アンシェント』柄をショッピングバッグにした事が始まりです。 タータン・アワード受賞を機に、アレンジを加えて『マクミラン/イセタン』としてオリジナル生地を織りあげました。 この生地を忠実に再現し、ショッピングバッグを刷新しました。 そこには、ショッピングバッグをファッションアイテムとして捉える考え方がベースとなって存在しています。

株式会社三越伊勢丹ホールディングス Isetan Mitsukoshi Holdhings Ltd.

”縁の下の力持ち“を支える人への愛

高所建設現場で働く人たちの命を守る安全帯。しかし、実はこの安全帯を外すときに、落下事故が一番起きやすいという。
このフックは、高所での事故を減らしたいとの思いから、“外れにくさ”ではなく、“外しやすさ”を追求して開発された。スムーズな取り外しの機構と、開口部の拡張を実現した。また素材はアルミの鍛造で、色は黒というこだわりよう。命を守るという機能だけでなく、一日中身につけるものとしての美的な側面まで意識されたプロダクトとなっている。
より安全で美しいこの安全帯フックは、建設現場という都市における“縁の下の力持ち”を、さらに支える働く人たちへの愛がつまったデザインだと思う。

内田 まほろMaholo Uchida

高所作業用ランヤード
剣フック
Safety Belt
Turugi Hook

建築業界は全産業の中でも依然として墜落・転落死亡事故の割合が60%と高く、墜落防止ロープは必携であるが高所での移動中のフック架け替え時に発生する落下事故が無くならない。このフックは架け替えのし易い構造を目指し、全体を大きくすること無く開口部のみを広げる工夫を施した。指の形を模した外れ防止レバーはすべり防止にも役立つと共に握ったときの安定感を増した。これら形状の工夫により開口部を従来市場にある製品に対して116%広げることに成功。この形状を鍛造アルミニウムのフックに用いることで従来フックの67%に軽量化。素材の良さをマットブラック塗装で表現し美観に富む製品となっている。

株式会社基陽 KIYO CO.,LTD

小さいのが、いい。

小さいことはいいことだ。まさしくそれを体現したのが8pino である。 Arduino とは、簡単に電子工作を行えるように配慮されたマイコン基盤である。回路図がオープンソースで公開されているため、だれでもクローンを実装できる。最初は手の平サイズだったのが、この8pino はそれをはるかに下回る小ささで、幅8mm指の上に乗る。試作基盤のため、他のケーブルをつなぐ端子が必要であり、これ以上小さくても意味がないという限界にまで一気に攻めこんだ。これだけ小さければ、ほとんどどのような用途でも十分だろう。そういうサイズである。結局のところ8pino は、ただサイズが小さいだけだ。だが、それがいい。

江渡 浩一郎Koichiro Eto

電子試作ツール
8pino
electronics prototyping tool
8pino

『ミニマリストのためのArduino互換機』Arduinoと呼ばれる、現代の電子工作に欠かせない世界標準の試作ツールを世界最小サイズでデザインしました。マイコンを内蔵し、エンジニア・デザイナー・メディアアーティストが試作や開発に利用するArduino。従来の製品はサイズが大きく自分の作品に効率よく組み込むことができませんでした。私たちはミニマルな作品や製品開発を追及するユーザーのために無駄なスペースを排し、世界最小のサイズから生まれた「余白」を提供します。独自設計の世界最小マイクロUSBコネクタで書き込み時の使い心地は一切妥協せず、使い手がスムーズに開発を行うための素材を実現しました。

VITRO

作ること、食べること、社会の構造を考えること

作る人と食べる人をどのように繋げるのか。これは社会全体の構造を考えることに直結してきます。東北食べる通信は伝えることと食べることを一体化することで、情報と食材を一つの流れに合流させ、継続的に循環させようとする取り組みだと思います。
本来、消費というものは、生きるために必要な仕方がない一過性の費用ではなく、自然や社会を学びながら、よりよい暮らしを実現するための投資であるべきです。「楽しく作る」と「美味しく食べる」という幸福で自然な関係。「世なおしは、食なおし」という言葉を掲げたこの活動には、こうした生産者と消費者の本来の関係性を取り戻すための、様々な創意工夫が満ちています。

鹿野 護Mamoru Kano

月刊誌
東北食べる通信
The Monthly Magazine
Tohoku Edible Journal

東北食べる通信は、地方の生産者と、都市に住む生活者の間の断絶を解消し、双方に「継続的なつながり」をもたらすために創刊された世界で初めての”食べる月刊情報誌”。毎号、東北の熱心な生産者にクローズアップし、付録として、彼らが作った実際の食べ物をつけて会員宅にお届けしています。会員たちは、その食べ物を使った料理をFacebook上のコミュニティに掲載。それを見て生産者がコメントするなど、食べる通信をきっかけに両者の交流がスタートし、農作業を手伝うなどの交流会が自発的に行われるまでになりました。会員数は1000名を突破。四国や北海道、東松島でも食べる通信が創刊されることになりました。

NPO法人東北開墾 TOHOKU KAIKON

日常の中で愛着がわくデザイン

子供にとっても、親にとっても、丸みを帯びた愛らしい形状が、さりげなく日常に寄り添ってくれる。子供に体温計をあてる時は、親子の気持ちのどこかに、かすかな不安や心配があるもの。そんな気分を優しく包み込み、安心感を与えてくれる確かな形状と質感を備えている。
見やすいグラフィック表記と、使いやすいインターフェース、持ちやすく使いやすいかたちは、使い手の目線に立ちながら、きめ細かいデザインを丁寧に施した結果。日常の中で愛着がわくデザインと言える。

川島 蓉子Yoko Kawashima

電子体温計
オムロン 電子体温計 MC-682
Thermometer
Omron Electronic Thermometer MC-682

お子さまの検温をやさしく、スムーズにおこなうための体温計。 15秒の予測検温により、朝の忙しい時間帯や、夜中の急な発熱時にも、すばやく検温することができる。先端部がゴム製でやわらかく曲がるため、力を入れてはさんでも痛くなりにくく、冷たさにひやっとすることもない。日時つきで過去10回分の体温の履歴を確認することができるため、病院の受診時や、体温変化の振り返りにも役立つ。ブザーオフ機能や、バックライトの搭載で、暗いお部屋で眠っているお子さまの検温も安心しておこなうことができる。

オムロン ヘルスケア株式会社 OMRON HEALTHCARE Co., Ltd.

生活文脈と先端技術の融合

この佇まいは、一種のマジックである。モダンな空間におけるミニマルなサイドボードとしての存在が、世界最高レベルの技術が凝縮された映像装置としての姿に、そして住空間が劇場に変容する様には、だれしもが驚きを覚えることであろう。
その一瞬の経験価値の実現には様々な工夫が必要となる。歪みのない映像や製品筐体の丁寧な作り込みはもちろんのこと、企業ロゴの控えめな扱い、そして、レンズ部カバーのスムーズな開口動作などの細部にもデザイナー、そして技術者のプロジェクトへの深いコミットが見受けられる。生活文脈と先端技術の融合が見事に一つのデザインとして結実したよい事例ではないだろうか。

櫛 勝彦Katsuhiko Kushi

4K 超短焦点プロジェクター
4K 超短焦点プロジェクター LSPX-W1
4K Ultra Short Throw Projector
4K Ultra Short Throw Projector LSPX-W1

リビングなどの日常空間に新たな体験「Life Space UX」を創造する第一歩として、これまでにない映像体験を提供する4K超短焦点プロジェクターです。最大147インチの大画面映像を壁に投影でき、普段は何もない壁を全く別の世界に変え、あたかもそこにいるかのような没入感と迫力の映像体験が得られます。特殊な工事は不要で、壁際に設置するだけで臨場感あふれる大画面映像を楽しめます。家具モジュールを基本としたサイズと、水平・垂直を基調としたシンプルなデザインにより、インテリアに違和感なく溶け込む佇まいを目指しました。本物にこだわった質感は、投影しているときもしていないときも、所有する喜びを提供します。

ソニー株式会社 Sony Corporation

感覚が欲する魅力

デザインが必要とされる範囲が日に日に広がっている。Gマークの審査会場にも、ありとあらゆるテリトリーのモノやコトが並ぶ。必要とされるからデザインがある。だが、それぞれの分野の多くはまだまだ開発途上のように見える。または既にできあがった価値の表面をなでているようにも見える。もちろん、それらのことにも意味はある。ただ、その中から一点を選ぶ時、私はこのカメラを迷わず選んだ。
モノの存在は、それでしか伝えられないコトを伝える。観念ではなく、感覚が欲する魅力にあふれたモノ。説明は不要だ。体感的にこのモノを受け取ることに価値がある。新しいプロダクトデザインの逸品だと思う。

工藤 青石Aoshi Kudo

デジタルカメラ
dp Quattro
Digital camera
dp Quattro

シグマdpシリーズは、フィルムライクな層構造ですべての光情報をそのまま取り込める世界唯一のセンサー、Foveonを搭載している。垂直色分離方式センサーが生み出す圧倒的に豊かな色の階調は、目で見る質感と同質の表現力を持ち、単調なモノトーンのグラデーションであっても、破綻なく色再現する事が可能である。 あらゆる構成要素を徹底的に検証し直し、シグマの哲学である「作品づくりのためのカメラ」への方向性を先鋭化させ、本格的な芸術表現をより身近にするための本質性能だけに特化して磨き、生まれたのが、dp Quattroシリーズである。

株式会社シグマ SIGMA CORPORATION

物質としての脳を切断する

道具の価値はそこに託すものの価値によって決まる。道具の説明をしても、そこからは(ほとんど)何も見えてこない。
専門家のためのインターフェースは集中する。ちょっとした違いが大きな変化を生み出す。
人間の本性は、日常生活の中には(ほとんど)現れない。
日常生活を掘り下げることとは、極限状態の逆関数を発見することである。そこではじめて、人間の本性を垣間見ることができる。

久保田 晃弘Akihiro Kubota

脳外科手術用器具
脳外科マイクロ剪刀
Micro Neuro Surgical Instruments
Micro Scissors

顕微鏡下で微細な組織の切断や剥離をするための医療用の脳外科手術マイクロ剪刀(ハサミ)である。深部操作を長時間精緻に行う手術において術者への疲労の問題がある。そこで繊細な手術において円滑にストレスを感じることなく、しかも心地よく扱えるマイクロ剪刀を臨床現場の福井大学医学部脳脊髄神経外科菊田教授と連携し開発する。

株式会社シャルマン+福井大学 Charmant Inc. + UNIVERSITY OF FUKUI

素材と構造がもたらす理想のマスク

花粉対策のために顔にフィットする。花粉捕集に適した大きさと密度のセルを持ち、立体網目構造にした柔らかく伸縮性のあるポリウレタン素材を使い、中央部を縦に接合した立体的な形状と、耳に対する緊張を軽減するために丸く開けられた穴が極めて簡潔な形状に仕上げられているところに特徴がある。
この素材の立体網目構造は、花粉捕集ばかりでなく、息をするための通気性と、繰り返し使うために洗えるように設計されている。素材に対する技術的工夫とそれに基づく簡潔な形状のデザインにより、マスクの理想形の一つを示していると言える。使用場面を配慮した素材の色処理や素材の匂い処理による、今後の改善と発展も楽しみである。

小林 昭世Akiyo Kobayashi

マスク
PITTA MASK
mask
PITTA MASK

「PITTA MASK」は、柔らかく伸縮性のあるポリウレタン素材で作られた花粉用マスク。ポリウレタンという新素材を採用することで、顔の凹凸に密着して花粉が侵入する隙間を作らず、長時間着けても耳が痛くならない優しい着け心地を実現した。また、このポリウレタン素材は、セル(=孔)を花粉捕集に最適な大きさや密度にコントロールした立体網目構造にし、通気性を妨げるセル膜を完全に除去する、ポーラスフィルター技術が施され、花粉捕集率99%のフィルター性能と、圧倒的に息がしやすい高い通気性能の相反する性能を両立している。また、洗って繰り返し使用でき、3回洗っても花粉捕集率99%を保つ。

株式会社アラクス ARAX Co,.LTD.

かっこいいアメリカのお父さんになれるかも?

子供のころ、本格的なバーベキューに憧れていた。アメリカのテレビや映画で、雄大な景色の中で大きな肉の塊を焼いているのを見て羨ましく思ったものである。
しかし、現実に日本でバーベキューをやろうとすると、キャンプ場などの設備を使う場合を除き、大変なことが多い。
問題はなんといっても準備と片付けの手間であろう。それらを一気に解決してくれそうな製品である。なにしろ使い慣れたカセットボンベが燃料で、一瞬で着火、消火ができるのだから。しかも、折りたたみ機構やカラーバリエーションなど、アウトドアグッズとしての魅力がある。これならだれでもかっこよく、家族に肉を振るまうアメリカのお父さんになれるかもしれない。

佐藤 弘喜Hiroki Sato

カセットガス式バーベキューグリル
イワタニ カセットガス バーベキュー『 グリルステーション』
Barbecue Grill powered by 8oz butane fuel canister
IWATANI BBQ GRILL STATION

本製品は、入手しやすく取扱いが簡単なカセットガスを燃料にしており、屋外での本格的なバーベキューが楽しめます。持ち運びが便利(タイヤ付き)で、組み立てや折りたたみが簡単に操作できます。また、ガスの圧力を調整し安定した火力を実現できるガバナー(圧力調整器)を搭載しているため、カセットこんろと同じ手軽さで、料理に合わせた火加減調整が可能です。最後に、カセットガスが燃料であるため、ライフラインが停止した場合等の非常時にも、備蓄しているカセットガスを使用して料理ができます。

岩谷産業株式会社 Iwatani Corporation

眼鏡づくりの匠の技が生んだ至高の術具

一見してその緻密で繊細なシルエットは眼鏡のフレームを連想させた。
それもそのはず、この脳神経外科用剪刀を開発したのは、福井の鯖江で眼鏡フレームを作り続けてきた老舗メーカーだ。高い付加価値がある眼鏡フレームを作るために開発されたレーザー微細結合技術を医療用途に応用し、外科医が意のままに操れる至高の術具を生み出した。日本のものづくりの技術が医療の質を向上させ、地場に新たな産業を生み出し、人の幸せにつながっていく。医工連携の理想的な事例のひとつである。

重野 貴Takashi Shigeno

脳外科手術用器具
脳外科マイクロ剪刀
Micro Neuro Surgical Instruments
Micro Scissors

顕微鏡下で微細な組織の切断や剥離をするための医療用の脳外科手術マイクロ剪刀(ハサミ)である。深部操作を長時間精緻に行う手術において術者への疲労の問題がある。そこで繊細な手術において円滑にストレスを感じることなく、しかも心地よく扱えるマイクロ剪刀を臨床現場の福井大学医学部脳脊髄神経外科菊田教授と連携し開発する。

株式会社シャルマン+福井大学 Charmant Inc. + UNIVERSITY OF FUKUI

家族用住宅の新しい可能性

二. 五世帯という家族用住居の中に、独立性の高い個室を組み込むアイディアは、現在の二世帯住宅の発展形として考案されたものだが、親族や、場合によっては血縁関係でない居住者を受け入れる可能性も示しているように見えて、家族用住宅に新しい展開をもたらすように感じされる。
そして、この住宅は二. 五世帯というコンセプトが、都心の限られた面積の中で実現された好例だ。茶室のような細やかさで、行為と空間の相関をデザインしているが、そうした配慮が特殊解ではなく普遍的な可能性を感じさせるのもよいと思う。

篠原 聡子Satoko Shinohara

戸建て住宅(2.5 世帯住宅)
中野区鍋屋横町街かどヘーベルハウス
private house for 2.5 families
nakanoku nabeyayokotyou matikado hebel haus

中野区鍋屋横町に計画された街かどヘーベルハウス。火災危険度4の敷地に備災住宅として計画されている。外観は日本古来の防火の知恵、「うだつ」から生まれた袖壁に印象づけられ、また実際にそれによって隣家の延焼から守られている。雨水を地中に蓄え、飲料水や保存食なども蓄え、太陽光発電と蓄電池の組み合わせで、エネルギーもつくり蓄えている。プログラムとしては親世帯と子世帯だけでなく兄弟姉妹も一緒に暮らす新しい二世帯住宅、2.5世帯住宅として計画されている。住宅としての気持ち良さや快適性に加え新しい住まい方のプログラムや備災住宅としての機能を備えている。

旭化成ホームズ株式会社 Asahi Kasei Homes Corporation TOKYO DESIGN OFFICE

暮らしの道具と呼べる家電

ようやく暮らしの道具といえる家電製品ができたと感じました。華飾が少なく、カタチそのものによるデザインがモノの価値を表しているこれらは、正々堂々とした勇敢なデザインと言えるのではないでしょうか。ことさらに物質感を主張する華飾にまみれたモノたちが、なにか滑稽で気恥ずかしいものに感じられます。
この家電製品シリーズが体現する“適切な豊かさ”は、これからの工業デザインが生き残る道だといえるでしょう。

柴田 文江Fumie Shibata

家電
無印良品 キッチン家電シリーズ
Consumer Electronics
MUJI Consumer Electronics Series for Kitchen

鍋や食器のようにキッチンやダイニングを取り巻く環境に調和する、暮らしの道具としての姿を目指したキッチン家電シリーズ。過度に多機能化した複雑な家電よりも、シンプルな機能でわかりやすく、長く愛着を持って使い続けられる家電が欲しいと言う生活者の声に応えた。冷蔵庫やオーブンレンジなどの「壁」に近い道具は、生活の背景となるよう四角い箱型に、電気ケトルや炊飯器などの「人(身体)」に近い道具は、丸みを帯びた優しいかたちとした。余計な装飾に頼らず、使い勝手や手触りや質感、適正な価格にこだわり、人々の生活の潤いや暮らしとの調和を第一に考える無印良品の思想を、これからの時代の一つの家電の姿としてかたちにした。

株式会社良品計画 Ryohin Keikaku Co.,Ltd.

体が覚えている

体がコントローラーの形を覚えている。両手にすっぽりと収まるグリップの角度、角の丸み、ボタンの表面の違いを覚えている。国家に国旗が必要なように、変化し続けるシステムには、変わらない表象が必要になる。
ソフトウェアやネットワークがサービスの中心となった現代では、ハードウェアの価値は「変わらなさ」である。ゲームをしているときはコントローラーを見ていない。指の記憶を裏切らないコントローラーが、変化をやめないゲームやサービスを支えているのだと思う。

鈴木 元Gen Suzuki

家庭用テレビゲーム機コントローラー
PlayStation®用コントローラー
Video Game Controller
PlayStation®controller

1994年にPlayStation®とともに誕生した△○×□ボタンとグリップタイプのコントローラーは、PlayStation®が20年前に作り出したゲームコントローラーの原型ともいえるデザインのアイデンティティです。最新のPlayStation®4専用ワイヤレスコントローラー(DUALSHOCK®4)は、そのアイデンティティを継承し、△○×□ボタンとグリップの基本構成はそのままに、さらに細かなディテールやパーツ構成のデザインを研究し、タッチパッドの採用による直感的な操作など今までにない新たな機能を加えることで、業界を代表する優れたコントローラーに進化しています。

株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント Sony Computer Entertainment Inc.

まいにち使いたい鍋。

シンプルなホーローの両手鍋である。カラフルな台所用品が多い中、この黒い鋳物の鍋は見るからに機能的であり、プロ仕様という雰囲気がある。
鋳物のホーローは食材にまんべんなく蒸気を集め、旨味を逃さないと言われている。上蓋にもストライプ状の凸凹があり、蓋から蒸気が降り注ぐ仕掛けがある。上蓋でもグリルができ、鍋と共に、食材や料理に多様な対応が可能。丸みを持ったハンドルが特徴だが、過剰にデザインされていないところが、日々使う鍋としてよい。

須藤 玲子Reiko Sudo

両手鍋
鋳物ほうろう両手鍋
Two Handle Pan
Enameled Cast Iron Two Handle Pan

当製品は家庭で気軽に本格的なダッチオーブン料理ができることをメインに、煮る、焼く、揚げる等、幅広い料理が可能な鍋である。万能調理器としての性能を発揮することが出来る蓄熱性の高い鋳物を採用。鋳物を調理に使用するメリットのひとつに鉄分補給があるが、錆びやすく手入れに手間がかかる。今回の製品は、鋳物の蓄熱性を活かしながら、弱点である錆び防止に、琺瑯を全面に施すことで簡単な手入れで長く使用できる。特徴的な取手は、従来の両手鍋より上下の取手の間の隙間が広く、蓋の取り外しがスムーズに行える。また凹凸の少ない丸いフォルムなので、清掃が簡単である。高い機能性と鋳物、琺瑯の特徴がひとつになった鍋である。

ハースデザインズ株式会社 hearth design Co.,Ltd

とっさの時、たとえ言語に頼れなくても

電車などでの緊急通信装置である。自然災害の多発や、大規模な事故などの増加にともない、こういった緊急通信装置の重要度を再認識しなければならない。
この製品は、高性能のエコーキャンセルとノイズキャンセル機能を備えた音声会話と、ビデオ映像による通信システムを備えている。都市が加速度的に国際化するにつれ、言語表示の併記による煩雑さが公共システムの表示で問題となってくる。言語以外の明快なピクトグラムや造形手法でアクションを的確に行えることは重要である。容易に緊急コミュニケーションを認識できる、シンプルながらアイコン的な特徴を備えたシルエットは、ひとつの賢いデザインの解決策だと評価したい。

澄川 伸一Shinichi Sumikawa

Communications Equipment
Passenger Emergency Communications Unit (PECU) / Integrated Train Passenger Communications And Surveillance System

This device is known as the Passenger Emergency Communications Unit. It is found on trains such as Mass Rapid Train (MRT) and Light Rapid Train (LRT). It is usually installed within the train near the passenger entrance/exit doorways. Its main purpose is for passenger(s) to call and communicate with the train driver and/or the Operator Control Centre (OCC) in the event of an emergency.

Singapore Technologies Electronics Limited

大学でもっとも大事な拠点の再生

近年、多くの大学で校舎の建替が行われ、一新されたキャンパス風景が次々と出現している。そういった流れに比較すると、既存校舎の施設改修となる宇都宮大学工学部八号館は、質実で地味なプロジェクトである。大学の顔でも有名建築家の作品でもない、しかし最も重要な学生の日常拠点再生にあたって、丁寧な現状把握と新たなアクティビティ創出のためのビジョンがしっかりと練られ、多様な活動をサポートする場が創出された。
ロビーの壁に使われた地元産の大谷石は、仕上げ方を数種類に変えて教材にもしているなど、ディテールも個性的。
時間の痕跡がほどよく残りながら、新たな場になることで、広い世代の記憶に残る校舎になるだろう。

高橋 晶子Akiko Takahashi

大学施設改修
宇都宮大学工学部8号館(建設学科棟)改修
University Building Improvement
Utsunomiya University Faculty of Engineering Bldg.8 Improvement

大学の建設学科校舎の改修。築34年の校舎の耐震補強と設備更新とともに、画一的で分節された既存校舎の空間を流動化させ、校舎に新たな息吹を与えることを試みた。建築・土木系の実践的な教育研究を行うために、ワンルームのデザインスタジオ、プロジェクトスペース、廊下を拡張したたまりスペース等の「オープンな協働空間」を設け、また、複数種類の耐震ブレース、構造・設備の露出、地域産の大谷石壁面等の「校舎の教材化」を推進した。基本設計に先立ち、利用実態の把握と課題の抽出を行い、企画・設計・利用の各段階を通した利用者と設計者の協働による「建築プログラミング」を実施した。

宇都宮大学 Utsunomiya University

あらゆる工夫があるからこそ、神々しい

最初に見たとき「冗談なのか??」と思った。全身ピカピカに磨き上げられた銀色の躯体。ネジ穴や小さな凹凸が全くないため、ある意味、技術要件を無視したスタイリングモックアップのようにも見える。しかし、それは、バクテリアの増殖を極限まで抑えるために、ありとあらゆる工夫が施された結果の形だった。
間接部の断面はすべて真円で、腕が回転しても隙間が全く生じない構造になっている。あらゆるネジ穴や細かい凹凸は埋められ、磨き上げられている。菌の繁殖を防ぐために、会社のブランドロゴの印字や刻印さえ排除されている。そのような極端な判断の積み重ねの上に、世にも珍しい外観のロボットアームが登場した。その姿は、神々しくさえ思える。

田川 欣哉Kinya Tagawa

産業用ロボット
医薬・医療用ロボット VS-050S2
Industrial robot
VS-050S2

本製品はクリーンルームなど滅菌環境下での作業を想定した産業用垂直多関節ロボットです。 主に食品や医薬品、半導体などの製造工場で使用されます。滅菌環境下という特殊な環境に適応するため、従来からの防滴、クリーン技術にプラスして、滅菌洗浄に耐性のある表面処理を施しています。先端にハンド(※)を装着することで様々な作業にフレキシブルに対応し、生産工場の自動化・省力化に貢献します。※ハンド:作業を遂行するためにアーム先端に装着するアダプター。作業内容に応じて、機能や形状が異なる。

株式会社デンソー+株式会社デンソーウェーブ DENSO CORPORATION + DENSO WAVE INCORPORATED

水の中のコミュニケーションを愉しもう

ダイビングやシュノーケル経験者ならリアルタイムに感動を“言葉”によって共有したいと思ったことがあるだろう。
その願いを叶えてくれるのが、このLogosease である。
今までの水中トランシーバーは、業務用で高価なためコンシューマーには手が出なかった。
一方、これはコンパクトボディ、低価格を実現し、幅広い層に「水中コミュニケーションの楽しさ」を提供させた。
また、安心感の提供ということも今までにない切り口だ。
私も潜水中に思わぬ事故に遭遇したが、そんな時に事態をバディへ正確に声で伝えられたら心強いはずだ。
驚きや感動に加え、もしもの時でも早期に意思疎通する環境が備わることで、最良の時を楽しむ心地のデザインがここにある。

田子 學Manabu Tago

水中トランシーバー
ロゴシーズ
Underwater walkie-talkie
Logosease

今までのダイビングは沈黙の世界だった。ハンドシグナルや筆談でコミュニケーションするしかなかったのだ。ロゴシーズ(Logosease)は、そんなダイビングの世界に「会話」を創り出した。レギュレータを咥えたままの会話は、骨伝導のマイクとスピーカーで実現している。本体は、ダイバーが普段愛用している器材と干渉することなく、マスクストラップに取り付けるだけで使用可能だ。コンパクトな一体型、スイッチレス、ケーブルレスにこだわり、防水性やメンテナンス性に優れた構造だ。ダイバー同士が声でコミュニケーションできる安心感、その場で驚きや発見を共有できる感動、今までなかった全く新しいダイビングスタイルを提供する。

山形カシオ株式会社 YAMAGATA CASIO CO.,LTD.

”消す“ためのMONO

修正テープの機能は、消しゴムと同じで字を消すことだ。
修正テープをその消しゴムと同じプロポーション、同じグラフィックで乗り切った。
「MONO」のグラフィックそのものが“消す”機能を示すアイコンになっているという自信が潔い。消しゴムと同じ気分でペンケースに入れられ、2.5mm幅の細幅テープで消しゴムと同じ気分で文字を消すことができる。「MONO」ブランドという財産を大事に育ててほしいと感じた。

寺田 尚樹Naoki Terada

修正テープ
モノノート
Correction Tape
MONO note

2.5mm細幅テープを搭載したノートの修正に最適な学生向けの修正テープ。2.5mm細幅テープと透明な転写ヘッドにより、狙った範囲だけを的確に消してノートを綺麗に仕上げることができる。また、手に馴染みやすくペンケースにも収納しやすい形状やサイズ、片手で転写ヘッドを出し入れできるスライド機構などによって、学生にとっての使い勝手と効率性を高めている。

株式会社トンボ鉛筆 Tombow Pencil Co., Ltd.

ウイスキーへの興味が沸いてくる

何百年も飲み継がれている嗜好品の極みであるウイスキー。その歴史のなかで、嗜好や製法や歴史ではなく、言ってみればそれらと無縁のアプローチでありながら、ここまでウイスキーに興味を抱かせるスタイルがあっただろうか。現代の技術と嗜好が握手した稀な表現。さすがに日本だ、と思わせる。
そして、何十万というバイラル、世界中からの引き合いという実績。一つのプロモーションではあるが、デザインという立場とプライドが幾折にも重なり、立ち上がった好例と考える。

遠山 正道Masamichi Toyama

ウイスキー関連
3D on the Rocks
Whisky
3D on the Rocks

3D on the Rocksそれはサントリーが提案する、新しいウイスキーの愉しみ方。好きなモノやカタチを最先端の3D技術で削り上げ、世界に一つだけのウイスキーが愉しめるイノベーション。オリジナルにデザインしたCNCルーターで自由自在なカタチの氷を削り出すという世界初の発明です。サントリーはこの仕組みを利用し、都内に出現した期間限定のBARで、最高のウイスキーと最高の氷で、最高の一杯を提供しました。

株式会社TBWA\HAKUHODO TBWA\HAKUHODO

変わっても、良かった。

歴史があるものほど「あー変えちゃったんだ。前の方が良かったのに」と、感じることが多いのだが、この紙袋は奇跡的にそれを免れている。それは日本が長い時間をかけて培ってきた友禅の持つ文化的価値を、多くの人と共有したいという三越の気概を感じるからかもしれない。
幾何学的な柄はシンプルだが、飽きがこない。色遣いも派手すぎず品がある。
呉服屋として創業した三越の“原点”と、これから百年の“未来”という相反する要素とを、見事にバランスさせている。

永井 一史Kazufumi Nagai

紙手提袋
三越「実り」紙手提袋
Paper shopping bag
mitsukoshi MINORI Paper shopping bag

三越のショッピングバッグを57年ぶりに刷新。 江戸時代のモードの発信基地、呉服店「越後屋」をルーツとする企業として、日本の染と織に着目し、友禅作家であり、無形重要文化保持者(人間国宝)の森口邦彦氏にデザインを依頼した。「白地位相割付文 実り」と題された着物のデザインを、ショッピングバッグという立体物に合わせて新たに染め上げ4面で位相展開する、斬新なデザインを作り上げた。ショッピングバッグは、お客様が一番手にし、眼にし、使うものだからこそ、ファッションアイテムとしてお客様の装いをコーディネイトするアイテムと位置付け、視覚的な価値を重視した。

株式会社三越伊勢丹ホールディングス Isetan Mitsukoshi Holdhings Ltd.

せわしなくないグッドデザイン

都会のタクシーはせわしない。急発進に急ブレーキ。急いでいるわけではないのだけれど…。挙句、降りるときにはいつも軽い車酔い。
多くの人がこんな経験をしているのではないでしょうか。運転手さんに言えばいいのにと思うかもしれませんが、それで車内の空気が悪くなってもイヤですし。
そんな不満を解決したのがTURTLE TAXI 。かわいい亀のマークを押すだけで運転手さんはゆっくり丁寧に運転してくれる。実際にかかる時間はほとんど変わらないそう。そのうえ、環境にも優しく、もちろん乗る人にも優しい。
さらに指名、予約の件数まで増えたとなれば、これはまさにすばらしいグッドデザイン。
ぜひ、都心にも進出していただきたい!

中川 淳Jun Nakagawa

タクシー
タートル・タクシー
Taxi
Turtle Taxi

タートルタクシーは、助手席裏のボタンを押すといつもよりゆっくり運転する、新しいタクシーサービスです。 ゆっくり運転中はフロントガラスに亀マークが掲示され、車外からもゆっくり運転中なのがわかる仕組みとなっています。 運転手は専門のトレーニングを受けており、ただゆっくりなだけではなく、いつもより更に安心で快適な運転をお客様へご提供しています。 また、急加速・急停車を避けた運転をすることによりエコドライブになり、燃費の向上およびCO2削減にも貢献しています。 お年寄りや妊婦さんなど、ゆっくりでもいいから安全で快適に移動したい方々から特にご好評をいただいています。

三和交通株式会社+株式会社アイ・エム・ジェイ Sanwa Koutsu Group + IMJ Corporation

個人用でも揃えて持ちたい

1969年に最初のプロダクトが発売されてから、半世紀弱もの長い間にわたって使われ続けているホワイトボードマーカー。発売当初の頃は、ホワイトボードがまだ一般的ではなかったのではないだろうか。太さ、長さ、ボディのテーパー具合など、ホワイトボード用に最適な調整がなされている。
キャップに入るスリット、そのキャップとボディの関係、インキ色そのままのボディの色、ロゴの入り方など、細部に至るまで佇まいが美しい。色を揃えて持ちたいけれど、あまり個人で使う類のモノではないのが、ちょっと残念(笑)。

中坊 壮介Sosuke Nakabo

ホワイトボードマーカー
ホワイトボードマーカー補充タイプ
Wytebord Marker

日本初のホワイトボードマーカーとして1966年に発売した“WM-50”に改良を重ねた商品。濃く鮮やかな線で筆記が可能で、インキを補充できる経済的な製品としてオフィスや教室などで継続的に使い続けられている。キャップは開けやすいように、引き抜く際に指に引っかかる形状にしている。インキ色は5色、ボディはそれに伴った明解なカラーリング。

株式会社パイロットコーポレーション PILOT CORPORATION

楽しい気分に誘うミシン

良質なプロダクトデザインには、新たな生活行為やそれを使う素敵な自分の姿をイメージさせ、楽しい気分を誘発する力がある。このミシンには、そんな“力”が宿っている。
フォルムは整理された曲面と気持ちの良いエッジで構成され、コントローラーなどの細部までデザインの配慮が行き届き、デザイナーの製品への思いが伝わってくる。カラーのチョイスも絶妙。伝統的な工業製品であるミシンのデザインの価値を高めることで、創造する喜びを啓蒙したいという企業の姿勢も評価したい。
新規性のある「お絵かき」をはじめとする機能、フォルム、カラーが相乗効果となって、ソーイングの楽しさや可能性を感じさせ、楽しい“ここち”が満ちている。

長町 志穂Shiho Nagamachi

ミシン
OEKAKI 50
Sewing machine
OEKAKI 50

絵をかくように自由に刺繍ができるミシンです。フットコントローラーの踏み加減で縫い幅が変化する機能をもち、布を自動で送る機能は使わずに自ら布を動かして刺繍をすることができます。楽しく自由に使ってもらいたいと思い、この機能をOEKAKIと名付けました。誰にでもわかりやすく使えるように、糸かけの仕方を言語レスでボディにプリント。また、糸通しやOEKAKIモードへのセッティング方法を忘れた際に、わざわざ分厚い説明書を出してこなくてもいいように、言語レスのクイックガイドをミシンに搭載しました。

アイシン精機株式会社 AISIN SEIKI Co.,Ltd.

「撮りたい!」「撮られたい!」

メディアやテクノロジーの進化は、デザインの概念を大きく変えている。そんな中、私が近年とても残念に思っていたのがカメラのデザインだ。スマートフォンのカメラ機能の進化やコンパクトデジタルカメラの機能やデザインの画一化傾向は、私にとってとても残念なものとなっていた。
このSIGMA dp2 の登場は、そんな私にうれしい衝撃を与えてくれた。超高解像度をはじめとした高機能を踏まえたそのデザインは、長らく失っていたカメラデザインのアイデンティティーの復活を思わせる。「撮りたい!」はもとより「撮られたい!」デザイン。デザイナーの存在を大きく感じる久々のカメラの登場だ。

中谷 日出Hide Nakaya

デジタルカメラ
dp Quattro
Digital camera
dp Quattro

シグマdpシリーズは、フィルムライクな層構造ですべての光情報をそのまま取り込める世界唯一のセンサー、Foveonを搭載している。垂直色分離方式センサーが生み出す圧倒的に豊かな色の階調は、目で見る質感と同質の表現力を持ち、単調なモノトーンのグラデーションであっても、破綻なく色再現する事が可能である。 あらゆる構成要素を徹底的に検証し直し、シグマの哲学である「作品づくりのためのカメラ」への方向性を先鋭化させ、本格的な芸術表現をより身近にするための本質性能だけに特化して磨き、生まれたのが、dp Quattroシリーズである。

株式会社シグマ SIGMA CORPORATION

自由で楽しく、元気になれる

一見、巷で流行の「ふざけたバカバカしいかぶりもの」と思いきや、かつての馬産地としての十和田地域の記憶、伝統芸能「南部駒踊り」からの流れを汲む。きっかけは東日本大震災義援金集めの仕組みであったというが、ウマジンのプロダクトとしての作り方や素材は無駄がなく、実にセンスがいい。さらにどんな人でも参加可能であり、場所やパフォーマンスに合わせて様々なカスタマイズも可能である。その自由度と楽しさが次々と増殖し、地域のアイデンティティーに繋がっていく。昔から行われている“お祭”にも近い。
地方を元気にする仕掛けは、お金の問題ではなく、身近にあってどんな地域でも可能性があると改めて気付かせてくれるデザインだ。

南雲 勝志Katsushi Nagumo

コミュニケーションツール、地域づくり
ウマジン
Communication tool,Community imorovement
Umagin

ウマジンかぶればみんな友達!見た目の異様さ、可笑しさ、かぶった時の恥ずかしさはその場に大きな高揚感と連帯感を生み、これまで見えていなかった街、人間関係、自分を発見することができる。ウマジンは人と人を繋ぎ、人と街を繋ぎ、街と世界を繋ぎ、それら全てを元気にする。ウマジンかぶればみんな平等。年齢性別職業国籍関係なし。ウマジンは世界を平和にする。「Umagin」には「Imagine」のI (私)からU(あなた)へ伝えたい、eが取れているのはego(エゴ)は捨てようみんな友達になろうよという普遍的なメッセージが込められています。

安斉研究所+公益社団法人 十和田青年会議所 ANZAI Lab + Junior Chamber International Towada

願ってもないガジェット

建築デザインを専業とする僕は、毎日どこに行く時もiPhone を持ち歩いている。散歩の時は音楽を聴き、現場監理の時は電話連絡に、出張の時はメールチェックやブログの書き込みに、iPhone は必須のガジェットである。当然ながらメールアドレスも事務所のPCと同じに設定している。
建築デザイナーで同様にiPhone を活用する人はかなり多いのではないかと思う。僕のように七十歳近い団塊世代の建築デザイナーにとって、iPhone にさらに加えてほしい機能は、ワイヤレスと補聴器の機能である。テクノロジーの進化は、機能の集積化と軽量化にあると信じる僕にとって、この「補聴器リサウンド・リンクス」は、願ってもないガジェットだ。

難波 和彦Kazuhiko Namba

補聴器
リサウンド・リンクス
Hearing Aid
ReSound LiNX

驚くほど小さなサイズでありながら、とてもパワフルで洗練されたデザインのスマート補聴器。 アップル社との共同開発によりiPhone、iPad、iPod touchと直接つながります。独自のワイヤレス通信により、通話、音楽や映像のストリーミング音声などが直接補聴器から聞こえます。電話の音声が直接耳に届くので、もうハウリングに悩まされることはありません。補聴器の音量、低音/高音調整、メモリ登録や置き忘れた補聴器を捜す等のことがご自身の手元で可能になる専用アプリも提供。 利便性に加え、外部調査機関でも証明された、補聴器本来の魅力である理想の音質を実現。自然な音のきこえを追及した独自技術。10色展開

ジーエヌリサウンドジャパン株式会社 GN ReSound Japan K.K.

神様ってすぐ近くにいるんだ。

物心つく前から神社のすぐそばに住んでいたので、神様に対する畏敬の念が強く、神様の領域とデザインという行為にどこかしら相容れないものを感じてしまう。しかし、このkamidana のデザインには、むしろ神様をあまり遠いものに思わないでほしいという願いがこめられており、なるほどなぁと思った。
考えてみれば、万物に神様が宿るというのが八百万の考えかた。神様の領域などというものは存在せず、すべてのものが神様だと思ってデザインしなくては、という気づきも与えられた。

根津 孝太Kota Nezu

神棚
Kamidana うるし
Household altar
Kamidana URUSHI

2013年4月に発売したKamidana「しろ」「むく」は、現代のライフスタイルにマッチする新しい神棚のカタチとしてご好評を頂きました。今回、この神棚をより日本の伝統を引き継ぐ付加価値の高い商品とするべく、同じ福島県の会津若松市で400年続く伝統工芸「会津漆器」とコラボレーションさせた商品が生まれました。漆は英語で「japan」と表現されるように日本の誇り高き木の文化です。漆塗りの起源にはヤマトタケルノミコトが関わったとされる伝説もあります。会津で最高峰の腕を持つ職人により神棚と漆を初めて融合させ、より美しく新しい神棚を完成させました。

株式会社正木屋材木店 masakiya wood company

いまこそ求められるプロダクト

いつ、どこで発生するかわからないゲリラ豪雨。最近では頻繁に起こり、深刻な浸水被害を起こしている。従来は土嚢が使われてきたが、重くて女性や高齢者ではとても移動させることができない。そのうえ、保管場所や使用後の後始末もやっかいである。そもそも土を調達し、袋に入れる作業だけでも大変。
この製品は、樹脂製シートを専用の止め部材で固定することで止水ができる。女性でもすぐに設置できる手軽さ、保管性や使用後の片づけも考えられている。敵ともいえる、水圧を利用して止水シートをドア側に密着させようという、逆転の発想がとても斬新である。

橋田 規子Noriko Hashida

簡易型止水シート
止めピタ
Easy and Compact Flood Prevention Sheet
TOMEPITA

ゲリラ豪雨などの急な増水により、建築物の出入り口(ドアやシャッターなど)から水が浸入して、床下・床上浸水の被害が出ている。その対策として従来は土のうが用いられてきたが、1つあたり約20kgと重く、それが多数必要なため設置に手間がかかり現実的では無かった。また使用後は流れ出た土を洗浄しなければならず、商業施設などで敬遠されやすい傾向にあった。そこで当該部位に樹脂製のシートを専用の止め部材で固定することで利便性と止水性能を向上させ、この問題を解決した。特徴は、(1)スピード設置、(2)女性でも持ち運びできる軽量設計、(3)通常はコンパクトに収納袋に詰める、(4)土のうの10倍以上の止水性能を有していることである。

文化シヤッター株式会社 BUNKA SHUTTER CO.,LTD.

昔ながらのカタチだけれど

この手押しポンプは、昔ながらのスタンダードな形でありながら、その能力は現代的にアレンジされ、何十倍と言っていいほどのパワーを持っている。汲み上げだけでなく、放水する際のポンプアップ十mは消火活動に力を発揮するものだ。 さまざまな風景になじむアフォーダンスの要素がある外観に、内包する高性能なパワーを評価したい。

服部 滋樹Shigeki Hattori

手押しポンプ
HDS形 ステンレス製ドラゴン
Hand Pump
HDS type Stainless Steel Dragon

用途:井戸や受水槽などからの水の汲み上げ用の手押しポンプ 形状:稼動部である柄の部分はドラゴンの尾に見立てゆるやかな曲線形状とし操作所作が優雅なように形状を考慮しました。また、吐出し配管部分には、両手で柄が操作できるようバケツ等を掛けられるように、ドラゴンの角を模した突起形状をデザインすることで、機能性にも優れています。 材質:ステンレス製で清潔給水 揚水量:1400ml/ストローク 重量:約19kg

株式会社川本製作所 KAWAMOTO PUMP MFG.CO.,LTD.

とつとつと形になる取り組み

安全な鉄道を実現するために、利用者から見えないところで様々なデザインに何人ものエンジニアが取り組んでいます。絶え間ない日々の暮らしの中で使われる鉄道という移動風景。
安全という結果をもう一度足元から積み上げていくために、今必要なことをとつとつと形にしていく、これもそんな取り組みのひとつであると言えます。

羽藤 英二Eiji Hato

JR 西日本の車両リノベーション
JR 西日本の車両リノベーション(体質改善)
Renovation of JR West Trains

JR西日本では大阪、京都、神戸を擁する都市圏を中心に約3600両の車両で鉄道事業を営んでいます。毎年新車を投入していますが、それだけで安全性やサービスを維持していくことは困難です。新車投入だけではなく既存車両を『リニューアル』することで、車両全体の安全性や快適性を向上・維持しています。この『リニューアル』とは、経年に対する機能回復だけではなく現代のニーズに見合った車両へ生まれ変わらせるリノベーション(体質改善)です。主なコンセプトは以下となります。・お客様のメリットを第一に、さらに鉄道事業者のメリットも実現させる車両改良・JR西日本としての車両ブランドの統一・車両のライフサイクルコストの最適化

西日本旅客鉄道株式会社 West Japan Railway Company

使い道は利用者がつくるもの

オープンイノベーションは日本ではどこか都市伝説的な響きがあり、成功事例が少ない。一方で、「ロングテール」という概念が表すように、分散化した多様なニーズをもつ利用者を味方につけ、利用者自身に製品の価値を見出だしてもらう流れは確実に広がっている。
X-mobility はまさにオープンイノベーションへの挑戦である。技術競争の激しいモビリティの領域で、あえて使い方が自由な「部品」としての市場にリリースし、利用者主体で活用法を作りだす。大量生産では対応しづらいニッチ・ニーズに対峙する新しいビジネスデザインでもある。大企業がこういった大胆な取り組みをはじめていることに大きな意義を感じる。

林 千晶Chiaki Hayashi

移動体の研究開発
X-mobility
Research and development of mobility
X-mobility

X-mobilityは、任意のアイテムに装着することでそれらを簡単に自走可能な移動体へと変えてしまう電動車輪システムです。これによってユーザーは自ら利用シーンを創造し、新しい移動体を作り上げていくことが出来ます。 車輪はこぶしサイズの球体形状をしており、どこにいくつ取り付けてもひとつの移動体としての振る舞いを見せます。ユーザーはスマートフォンなどを操作し、完成した移動体を自由に操縦したり、自分の歩行に追従させることが出来ます。

株式会社デンソー DENSO CORPORATION

飄々とした軽自動車

僕は運転免許を持たないが、近未来のモビリティはドライバーの視点だけではなく、パッセンジャーの視点も重要だと思っている。荒ぶる運動性能を人の手で制御することに運転の喜びがあるのだろうが、あと五十年もすると、まちがいを冒しやすい人間にルールだけで高速運転を許容していた社会が「信じられない」と、野蛮視される世の中になるかもしれない。
移動の合理性を少し引いた眼で見ると、日本の自動車の中では軽自動車が理にかなった進化を辿っているように思われる。スズキのハスラーは、ほとんどのクルマが眼を吊り上げているトレンドの中で飄々とノーマルな顔つきをしており、平熱で移動の実用性に向き合っているように感じられた。

原 研哉Kenya Hara

軽自動車
ハスラー
Small Car
HUTLER

商品コンセプトは、軽ワゴンとSUVを融合させた「海へ、山へ、街へ・アクティブスタイルに似合う軽クロスオーバー」。軽ワゴンと同等の広い室内空間とワンランク上の走破性、機動性をもたせて、楽しく明るいSUVテイストデザインを取り入れました。ターゲットユーザーは、「アウトドアやスポーツなどアクティブなライフスタイルを好む人」、「人とは違う個性を車のデザインに求める人」。スズキグリーンテクノロジーの採用による優れた燃費性能、レーダーブレーキサポートや誤発進抑制機能など先進の安全技術を搭載した、日常からアウトドアまで、しっかり使えて楽しめる、今までにない新しいジャンルの軽自動車です。

スズキ株式会社 SUZUKI MOTOR CORPORATION

”赤い突き出し“が消えた!

赤色表示灯の突き出しがなくなる。空間デザインにおいて些細な箇所ではあるものの、消火栓設備を示すための表示灯の突き出しは建築、設備設計者にとって悩みどころであった。この機器は高輝度光源を用いてリング型・すり鉢状に点灯させ、必要な視認性を確保しながらフラットなかたちを実現した。
さらに、表示灯と発信器をまとめたことで二つあった要素が一つになり、リング内部に発信器を配置したことで夜間における押しボタンの視認性を確保している。非常時の認知と行動の心理からみて、発信器への誘導がより自然なものとなった。防災と安全のための設備とシステムの向上を専業としてきた企業ならではといえる、質実な進歩のデザインである。

樋口 孝之Takayuki Higuchi

自動火災報知設備・発信機
リング型表示灯付発信機
AUTOMATIC FIRE ALARM SYSTEM, MANUAL FIRE ALARM BOX
MANUAL FIRE ALARM BOX WITH RING TYPE PILOT LAMP

センサーにより火災を自動的に検知し建物内に報知することで避難と初期消火活動を促す自動火災報知設備を構成する機器で、人が火災を発見した場合、押しボタンを押すことで手動で火災信号を発信する発信機とその位置を明確に示す表示灯。発信機を小型化し、表示灯を発信機の周囲が点灯するリング型で壁面からすり鉢状の凹形状とすることで、左右の視認性を確保しつつ、発信機の夜間の視認性を向上している。従来、表示灯は設置時に壁面から60mm突出していたが、壁面とほぼフラットにしたことで、建物のデザイン性を向上させたいというニーズに対応。さらに設置状態で凸がないことで接触による怪我や破損がないよう安全面にも配慮している。

能美防災株式会社 NOHMI BOSAI LTD.

タイムマシン・インターフェース

床・壁・天井の内側にある電気配線・配管・ネット回線などの生活インフラ、リフォーム時に前提となる構造材の位置情報を正確に記録するシステムは、これまで存在しなかった。
このEOPAN はタブレット端末のカメラをかざすだけで、建設時に撮影した写真を時系列ごとに表示する。つまり“X線写真のように壁の中を透視するタイムマシン”インターフェースである。また、各部材、機器に「耐久年数やメンテナンス方法」「故障への対処法・機器の製品番号・連絡先」などの情報が関連づけられており、ワンタッチで表示できる。
こうした“見える化”は建売・リフォーム業者の仕事を効率化させるとともに、居住者のインフラ管理への不安を劇的に改善するだろう。

日高 一樹Kazuki Hidaka

住宅管理用ソフトウエア
EOPAN
Software for housing management
EOPAN

施工図面やリフォーム履歴を残すことは重要だが戸建住宅の施工内容は現場裁量に委ねられ、残された図面から現実の状況を読み取る事は難しい。そこで全天球カメラで工事中の構造体や設備配線の撮影を行い専用ソフトに取込み、完成後その映像と現状を重ね合わせることで通常見えない壁や基礎の中を見られる様にした。今まで勘と経験で工事をしていたリフォーム業者や、家具を何処に留めたら良いのか判らない顧客に対しタブレット端末をかざすだけで壁の中の状況を伝える事が出来、効率的で安全性の高い工事を可能とした。画像内の部材をタッチすると部材の交換時期や緊急連絡先や手入れ情報が掲示され、住まう人に適切で判りやすい情報を提供する。

株式会社イオグランツ EOGLANZ Co., Ltd.

都会育ちでも憧れる

外周を低い庇でぐるりと囲み、その中に集落のように居室を配した特別養護老人ホーム。田園地帯の水平な景色の中、その佇まいは風景の一部のようになじんでいます。延べ床面積が4000㎡を越える大きな建物ですが、木造建築としての心地良さ、中庭を介したほどよいスケール感が空間に備わっています。
入居者も介護スタッフも、この地で生まれ育った方々とのことですが、このように伸びやかでゆっくりした時間の流れる空間ならば、都会からもここを終の棲家にしたいと希望される方がいるのではないかと思います。今後ますます、高齢化が進む日本の老人ホームとして、見習いたいデザインです。

日野 雅司Masashi Hino

特別養護老人ホーム
えびの涼風園 新館
nursing home
Ebino-ryofuen a new building

えびの涼風園は「風景と対話する」というコンセプトのもと、要介護度3~5の方を対象とした特別養護老人ホームです。敷地は宮崎・熊本・鹿児島の県境、四方を霧島連山などの山々に囲まれたえびの市の市内から少し外れた、田んぼと川に挟まれた場所です。この地の大きな特徴は、季節や天候により風景が劇的に変わることです。例えば春の稲作時には水が引かれて周囲は湖のようになり、秋の収穫時には田は黄金色に、山々は真紅に染まります。 入居者の多くはこの地に生まれ育ち生活を送ってきた人たちなので、彼らの人生の最後のときを、この地の独自の自然に抱かれてゆったりと穏やかに過ごすことができる施設です。

株式会社アトリエ9建築研究所+社会福祉法人慈愛会 Atelier 9 Architects & Associates + social welfare corporation JIAIKAI

この手があったか!

収縮性のある丸編み白タオル。働く現場で目にする、ねじりハチ巻用に開発されました。そのシンプルで必要十分な解決に、「この手があったか!」と心がアップして、デザインが持つポテンシャルを感じ、爽快な気持ちになりました。「シンプルな布に手を加えて何役にも使いこなす」。
風呂敷に通じる、日本らしい発想が気持ちよい。古来、ねじりハチ巻は手ぬぐいだったのでしょうが、昭和からは白いフェイスタオルと相場が決まっていました。
これは働く男のためのデザインですが、赤ちゃんを抱くサポート帯に、マフラーや帽子などにとフェイスタオルにはない広がりがありそう。女の私も「ひとつ使ってみようかしら」と、思わず手に取りました。

廣田 尚子Naoko Hirota

タオル
WORK-ER W007-WH 莫大小タオル
towel
WORK-ER W007-WH meriyasu towel

和歌山県の吊り編み工場、和田メリヤス株式会社のファクトリーブランドWORK-ERから生まれた、ニット生地の莫大小(メリヤス)タオルです。明治時代から存在し今では世界的にも希少な吊り編み機でゆっくりふっくらと編まれた生地は、表裏で異なる独特の表情を持ち、縦にも横にも伸びる吊り編み生地ならではの伸縮性があります。丸胴の機械の構造をそのまま生かした輪っか状のタオルは、「身につけるタオル」として、ぶら下げたり、ねじったり、巻いたり、覆ったり、仕事現場やスポーツ、ファッション、ライフスタイルの様々な場面で活躍します。軽くて吸水性も抜群です。

和田メリヤス株式会社 Wada Meriyasu Co., Ltd.

気持ちの良さそうな”家“

なんと気持ち良さそうな“家”ではないか。大自然を感じて過ごすのは夢である。気温や雨風、虫などいろいろ問題はあるけれど、キャンプの時に一番難儀なのは床。なるべく水平でゴツゴツしないところを選ぶけれど、どうしても傾いていたり、何かがあたって具合が悪い。このモバイルハウスは傾斜地や凹凸がある場所でも設置ができる。
なにより素敵なのは高床式になっていて床下を風が通り、湿気ない。見晴らしもよさそうだし、折りたたみ式のアルミトラス構造で軽量らしい。浜辺でビールを飲んで昼寝をしたい気分になる。

廣村 正彰Masaaki Hiromura

モバイルハウス
ゼロポッド
mobile house
ZEROPOD

未来の子供たちに美しい自然を引き継げる、サスティナブルリゾート実現のためのモバイルルーム ZEROPODは自然を傷つけず、大自然の中で快適に滞在可能な高床式モバイルコテージです。傾斜地や不整地でも工事不要で簡単にフラットな高床を設置可能、大地を傷つけずにどこへでも作ることが出来る世界初の自然破壊ゼロの環境共生建築です。ZEROPODは、大自然を傷つけることなく、人々が快適に大自然を楽しむことが可能なエコリゾートを実現します。

株式会社マリオデルマーレ一級建築士事務所 mariodelmare.inc

痛快な集合住宅のプロトタイプ

集合住宅のグッドデザインとは何か、この問いは意外に難しい。アパートメントのユニットのデザインならともかく、よほどの量産をしない限り、その全体像に対する汎用的なプロトタイプデザインが作れないからだ。
そこのところを、全く別の角度からアプローチしたのがこの作品。一軒の食堂をキーテナントに据えて、シェフがいわばアパート全体の管理人になるコンセプトが痛快である。シェアハウスとシェアオフィスを一歩進めたモデルで、ハードもそれにふさわしく、シンプルかつ柔軟性のあるデザインとなっている。

古谷 誠章Nobuaki Furuya

集合住宅
食堂付きアパート
Apartments
Apartments with a small restaurant

「食堂付きアパート」は、「小さな経済」に着目することで、地域社会に開かれた集合住宅である。ここでいう「小さな経済」とは、個人の仕事、趣味、特技など、楽しみを伴うやりとりを通じて他者と関わる行為を指す。敷地は東京の下町にある。建物は5戸のSOHOユニット、食堂、シェアオフィスからなる。SOHOユニットはスタジオという小さな経済のための空間を介して共用廊下に開かれる。食堂はまちとアパートの中間領域としてつくられ、シェフと料理好きの地域住民が切り盛りし、SOHOやシェアオフィスの利用者は打合せスペースとして使うこともできる。このような環境において、建物内外での交流がごく自然なかたちで始まっている。

仲建築設計スタジオ+株式会社カバ+椛沢春吉+遠藤千恵 Naka Architects' Studio + Qava,inc + Harukichi Kabasawa + Chie Endo

デザインの喜びとはこういうこと。

コンパクトデジタルカメラは、携帯電話のカメラ精度が上がるにつれ、存在意義について各社が様々に思考している。
しかし、このdp は各社の思考と一線を画した次元である。
その佇まいは、従来のカメラのフォルムを排除。技術的に確立したレンズと特殊なセンサーを内包するマグネシウム合金の薄い構造体を、工業デザインの力で孤高の存在に押し上げた。カメラとしての精度や持ちやすさ、右手の親指が当たる部分に設けた指がかりの位置、外装の絶妙なシボの配置など、もちろんさすがだが、コンパクトデジタルカメラの本質だけを見事に切り出したデザインには圧倒される。はじめて見たとき、デザインの喜びとはこういうことだと感じた。お見事です。

松井 龍哉Tatsuya Matsui

デジタルカメラ
dp Quattro
Digital camera
dp Quattro

シグマdpシリーズは、フィルムライクな層構造ですべての光情報をそのまま取り込める世界唯一のセンサー、Foveonを搭載している。垂直色分離方式センサーが生み出す圧倒的に豊かな色の階調は、目で見る質感と同質の表現力を持ち、単調なモノトーンのグラデーションであっても、破綻なく色再現する事が可能である。 あらゆる構成要素を徹底的に検証し直し、シグマの哲学である「作品づくりのためのカメラ」への方向性を先鋭化させ、本格的な芸術表現をより身近にするための本質性能だけに特化して磨き、生まれたのが、dp Quattroシリーズである。

株式会社シグマ SIGMA CORPORATION

市民との共有があればこそ

フランス、リヨン市における再開発事業に際して、街全体のエネルギーの利用状況を直感的かつスピーディに提供し、都市計画の指針等に用いるためのシステムです。
本作が他のCMSのシステムと比較して、最も際立つ点は、他ならぬ「わかりやすく、美しいグラフィック」にあります。これは、再開発事業にかかわるリヨン市職員など、専門家に向けた情報提供だけではなく、住民らにも街のエネルギー利用状況を適切に知らせ、施策に沿った行動を誘発するという、プロジェクト全体を市民と共有する思想が背景にあることを想像させます。今後、専門家に取り扱われてきた情報は、本作のように透明化、共有化の道を進むことはまちがいないでしょう。

松下 計Kei Matsushita

フランス リヨンプロジェクト CMS
リヨン コミュニティマネジメントシステム
Lyon Project CMS, France
Lyon Community Management System

フランス・リヨン市の協力の元、NEDOから委託された大規模なCMS実証事業において地域エネルギーを視覚化して分析するためのシステム。ビルや住宅さらには電気自動車などから、電気・ガス・水道などの消費量、そのCO2排出量、再生可能エネルギー利用状況を収集・分析し、省エネや環境負荷対策に効果的な施策や都市計画の指針とする。データの比較分析から気付きを提供するという課題に対し、グラフ化したデータを重ねたり、期間と日時を素早く絞り込んで比較しやすくしたり、街全体のエネルギー利用の変化が一目で分かるように地図上にマッピングしたりするなど、データの特徴を把握しやすいユーザインタフェースデザインとした。

株式会社東芝+東芝ソリューション株式会社 Toshiba Corporation + Toshiba Solution Corporation

ごまかさず、媚びず、かわいらしく

同じような顔つきの冷蔵庫が並ぶ中で、印象的な色彩が際立っていました。実在感のある素材を呼び集めるように構成された質感はごまかしがなく、細部も良識的で、文化の異なる人々の嗜好を考慮しながら、過度に媚びずに自立していけそうな姿をしている。豊かさにも貧しさにも寄り添うことができる、かわいげのあるデザインだと思う。
他の冷蔵庫が2014年の日本におけるグッドデザインであるとしたら、この冷蔵庫は、世界の、もっと長い時間の中で“現在的”であることができるデザイン。今の日本から送り出すことができる最良のデザインのひとつだと思います。

松田 朋春Tomoharu Matsuda

冷凍冷蔵庫
MR-F26/F23/F21/18/17/14
Refrigerator
MR-F26/F23/F21/18/17/14

本製品は、アジア市場向けの1ドア冷蔵庫と2ドア冷蔵庫です。前機種の縦スリットのハンドルを継承し、年齢や性別、身長差に関係のない使いやすさを実現しています。本製品ではさらに、扉面をフラットにして、より住空間に馴染みやすい直線基調のスタイリングにしています。また、扉のフラット化により、断熱材の体積を増やし、省エネ性能を向上させています。色は、複数用意し、インテリアアクセントとしての色や、住空間に馴染む色など、リビングにも冷蔵庫が置かれるアジア特有のニーズに柔軟に応えています。また、容量の異なる6機種の間で部品構成を標準化し、製造コストを低減することで、アジア市場に適した価格を実現しています。

三菱電機株式会社 MITSUBISHI ELECTRIC CORPORATION

まちにある人と人との多様な関係の場

「食堂付きアパートメント」は、都市部の住宅地にたつ住宅・事務所・食堂が複合した小規模な賃貸建物である。小さなスケールで人々が集まって暮らすことの意味と、そのことが持っている可能性をできる限り、豊かな形で発揮させようとした。住宅、事務所、食堂等の空間が程良く緩やかに分節され、暮らしの場面や人と人との関係の多様なあり方を誘っているところがとても良い。
運営を含めた事業方式の提案も含まれており、ここで実現した場のあり様が、まち空間に広がっていく未来を想像してみたくなる。

松村 秀一Shuichi Matsumura

集合住宅
食堂付きアパート
Apartments
Apartments with a small restaurant

「食堂付きアパート」は、「小さな経済」に着目することで、地域社会に開かれた集合住宅である。ここでいう「小さな経済」とは、個人の仕事、趣味、特技など、楽しみを伴うやりとりを通じて他者と関わる行為を指す。敷地は東京の下町にある。建物は5戸のSOHOユニット、食堂、シェアオフィスからなる。SOHOユニットはスタジオという小さな経済のための空間を介して共用廊下に開かれる。食堂はまちとアパートの中間領域としてつくられ、シェフと料理好きの地域住民が切り盛りし、SOHOやシェアオフィスの利用者は打合せスペースとして使うこともできる。このような環境において、建物内外での交流がごく自然なかたちで始まっている。

仲建築設計スタジオ+株式会社カバ+椛沢春吉+遠藤千恵 Naka Architects' Studio + Qava,inc + Harukichi Kabasawa + Chie Endo

理に適っている安全性と機能性

欧米の道路を何度も走った経験から言えるのは、規制の掲示が大型かつ明快で遠くからも判別しやすい傾向にあることだ。日本でも同種の設備の導入を望んでいただけに、本品に共感を抱いた。
しかも、エア膨張式とすることで衝突時の被害を軽減するとともに、未使用時にはコンパクトに格納することを可能とし、三角断面とすることで転倒時にも表示を維持するなど、様々な工夫が込められている。デザインとしては細部を煮詰める余地はあるものの、安全性や機能性に真摯に取り組んだものづくりを評価したい。

森口 将之Masayuki Moriguchi

膨張式フェンス
エアフェンスFAF
Inflatable fence
Airfence FAF

ゴム布製の膨張式抑止フェンスです。小さく畳んで保管可能。畳んだまま運搬し設置先にて空気ボンベで簡単に膨張が可能です(膨張時間30秒。ブロアも使用可)。収納は5分でできます。暴走族取締用の設計ですが、交通規制の必要なマラソン大会、イベント会場での進入規制や誘導、掲示板への利用など応用範囲は広いです。またゴム布製なので弾力があり衝突時にも安全です。最大の特徴は3本の足を持ったデザインで、全ての足に幕が付いており「止まれ」等の表示が可能です。これにより接触で転倒した場合でも回転して常に表示を維持できます。重厚感と安定性があり高い抑止効果とインパクトを従来のA型バリケードに代わり与えてくれます。

藤倉ゴム工業株式会社+株式会社藤加工所 FUJIKURA RUBBER LTD. + Fuji Factory

市民が親しめる現代アート美術館

歴史遺産である建築を保存・改修し、美術館にコンバージョンされることは頻繁に行われてきた。昨今では、慣れ親しんだ日常の空間を非日常の空間へとコンバージョンする改修も現れはじめた。経済的な理由より、社会的ストックを有効に活用するための改修である。
「アート前橋」は、市街地商店街に建つ中規模ショッピングセンターを改修して創られた、地域に根ざす現代アート美術館である。柱梁という主要構造体には手を加えずにフロアレベルを上手くスキップさせ、躍動的な回遊空間に生まれ変わった。アートに関わりがなかった市民も通い慣れた場なので親しみが湧く。SCだったから駐車場もたっぷり完備。肩の力が抜けた最良のコンバージョンである。

安田 幸一Koichi Yasuda

美術館
アーツ前橋
Museum
ARTS MAEBASHI

前橋の中心繁華街にある長年空きビルの状態であった旧デパートをコンバージョンし、街へつながる拠点として生まれ変わらせた美術館。旧施設の記憶を大切にしながら、全く新しいイメージが共存する、市民に親しまれる施設とした。「まちの散歩道のような美術館」とし、「プロムナード」と呼ばれる回遊空間を中心に、多彩なヴォリュームの空間が連続しながら施設全体を繋げることで、街から人々が気軽に散策しながら美術館の中へ中へと導かれていく。施設内の様々な大きさの窓や、あえてむき出しで残した既存建物の多様な姿が他の美術館ではみられない魅力を創出し、ぐるりと施設を巡る間に美術や建築自身の魅力、人々の活動に出会うことができる。

前橋市+水谷俊博建築設計事務所 一級建築士事務所+株式会社エイトブランディングデザイン
Maebashi City + TOSHIHIRO MIZUTANI ARCHITECTS + EIGHT BRANDING DESIGN

人の能力を引き出す=「アシスト」

建物の中はそうでもないが、外はすべてが“傾斜”している。車イスの移動環境は、前後にも左右にも傾斜だらけ。
自らの力で動きながら、このとてつもないギャップを解消するのがアシスト車イスだ。モーターをホイールと一体化。
よって座席を折り畳んだり、独立したホイールを取り外して好みのイスに取り付けたりもできる。さらに左右の腕力の違いを左右のアシスト率に置き換え、自分なりのパワーバランス調整も可能である。
フル電動の車イスは、きっと一人乗り自動車と同化する。
まもなく東京でオリンピック・パラリンピックが開催されるが、人の能力を引き出すためにアシストするのが、道具の本来のあり方ではないかと思う。

山田 晃三Kozo Yamada

電動アシスト車いす
JWスウィング
Power Assist Wheelchair
JW Swing

軽量、コンパクト、かつスマートな電動アシスト車いす。ユニットの着脱や折りたたみをワンタッチですることができ、クルマへの積載もラクラク。付属の専用ソフトにより使用者の身体状況や使用環境に合わせて最適なアシスト力を設定できるほか、2種類のパラメーターを記憶させてボタン一つで切り替えが可能。足元にゆとりを持たせたフレームワーク、腰部にはサポートベルトを設け、骨盤を保持することにより姿勢保持がラクになり、安定して軽快に漕ぐことが出来る。

ヤマハ発動機株式会社 Yamaha Motor Co., Ltd.

忘れられない清冽な印象

初めてFound MUJI の青山店を訪れた際に感じた清々しさ。
普段はものづくりを生業としているデザイナーが、バイヤーとして店をつくる行為によって、店という存在がこれほど清冽な印象を与えるものに変貌するのか、という驚きとともに、今でもはっきりと憶えている。
店を開く遥か以前から続けられてきた、旅する先でよいものを探し、見つけ出す、というFound MUJI の活動を、店や売り場という形で体現し、日々、来店されるお客さまへと伝え続ける。その姿勢は、店づくりを生業としている僕自身にとっても素直に賞賛に値する、価値の高い取り組みと言える。

山田 遊Yu Yamada

活動
無印良品 Found MUJIの活動
Activities
Found MUJI Activities

Found MUJI とは、社内スタッフが世界中に足を運んでリサーチし、無印良品の価値観の下にさまざまな日用品を探し出す活動です。その商品はFound MUJI青山を旗艦店に、限られた店舗で販売をしています。また、世界各国でのリサーチ結果を商品開発に活用し、習慣の変化に合わせて改良した日用品を無印良品の定番商品として生産、販売しています。

株式会社良品計画 Ryohin Keikaku Co.,Ltd.

”男性用マスカラ“もいかが?

残念ながら僕はマスカラを使ったことがない。 二次元が主流のメイクの中で唯一、マスカラは三次元的である。ビューラーにより湾曲を強調したまつ毛に、さらにマスカラを“盛る”という3Dプリンティング的な行為に対して、FASIO の“ひとひねり”されたシェイプは、そこに必要とされる回転運動を連想させる。理屈っぽい我々男性には、分り易すぎるほどに必然的なデザインに見え、魅力的だ。使ってみたい気すらしてくる。
しかし、この理屈っぽさはマスカラを日夜愛用している女性に受け入れられるだろうか?
 時代錯誤の男女差別に聞こえるかもしれないけれど、このデザインは男性用マスカラなるものが登場すれば、ピッタリとハマりそうだ。

山梨 知彦Tomohiko Yamanashi

化粧品
ファシオ
Cosmetics
FASIO

メイクアップブランドFASIOのポイントメイクシリーズ。忙しい毎日を送る現代の女性に「迅速」で「的確」なメイクアップを提供する。「持ちやすい」、「廻しやすい」、「メイクしやすい」といったそれぞれの用途に沿った機能性を視覚化する「ビジブルファンクション」によって使用用途や適した動きを自然に導きだす事を可能にする。パッケージ開封から手に取って使うまでの動作を突き詰めたデザイン。

株式会社コーセー KOSE Corporation

貫禄さえも・・・

おなじみの保温・保冷ポット。ステンレスの真空二重構造による、軽くて丈夫な製品である。ここ二十年、製造精度が向上して真空層を極限まで薄くできるようになり、同容量でもずいぶんとコンパクトになった。
安定した底面、絞られた首、レバーが操作しやすくて注ぎやすいハンドル。既に完成していたかに見えたデザインだが、まだ進化する場所があった。ロックを軽くつまむだけで蓋が外れる。何気ないことだが、広い口径によって中まで洗うことが躊躇なくできる。 テーブルの上には静かで優しいデザインが必要だ。この製品はそういう佇まいをしている。吟味されたカラーリングもこの姿によく似合っている。貫禄さえ感じさせるかたちである。

山本 秀夫Hideo Yamamoto

ステンレスハンドポット
SH-HA10.15.19
Stainless steel vacuum carafe
SH-HA10.15.19

割れないステンレスマホービンの卓上用ハンドポット。片手ですぐに注げる「レバー式せん」とつまむだけでカンタンに開閉できる「ラクラク開閉フタ」。従来からあるステンレスハンドポットがさらに便利で簡単に扱えるようになりました。

象印マホービン株式会社 ZOJIRUSHI CORPORATION

読みたくなる、食べたくなる、広げたくなる。

東北6県をテーマに、年間十二回発行される新しいカタチの旬の食材がついてくる月刊誌。
風評被害もある東北の食材をその背景にある人や物語を合わせて届けることが素晴らしいが、購読者がその食材の楽しみ方をFacebook 上で共有し、ときには生産者もその輪に参加することで縁がつながっていく。純粋に読みたくなる、広げたくなる誌面の写真やデザインのクオリティも注目したい。
この「東北食べる通信」のアイディアは購読者、生産者双方の共感を呼び、地域を拡げたい、年間の発行回数を増やしてほしいなどの声に対し、「日本食べる通信」というNPOとして、サスティナブルなカタチでその拡がりに自由度を持たせていることも素晴らしい。

横川 正紀Masaki Yokokawa

月刊誌
東北食べる通信
The Monthly Magazine
Tohoku Edible Journal

東北食べる通信は、地方の生産者と、都市に住む生活者の間の断絶を解消し、双方に「継続的なつながり」をもたらすために創刊された世界で初めての”食べる月刊情報誌”。毎号、東北の熱心な生産者にクローズアップし、付録として、彼らが作った実際の食べ物をつけて会員宅にお届けしています。会員たちは、その食べ物を使った料理をFacebook上のコミュニティに掲載。それを見て生産者がコメントするなど、食べる通信をきっかけに両者の交流がスタートし、農作業を手伝うなどの交流会が自発的に行われるまでになりました。会員数は1000名を突破。四国や北海道、東松島でも食べる通信が創刊されることになりました。

NPO法人東北開墾 TOHOKU KAIKON

気概のあるものはひとめでわかる

この椅子には、従来の日本の家具メーカーやデザイナーの保守的な考え方から脱却した、これまでにない部材の構成による新たな椅子のデザインの言語化に挑戦するような気概を感じる。シンプルな構成だが、製造上の構造はかなり繊細で、接合部の強度を確保することが困難だと一見して分かるデザインであり、製品化に至るプロセスには高い製造技術とかなりの苦労があっただろう。
これまで日本の家具メーカーやデザイナーがとらわれてきた家具に対する固定概念を塗り替えてゆく新しい試み。
“世界における日本の家具の在り方”に挑む、デザイナーとメーカーとの関係性を示唆するものであり、日本から世界への新たな挑戦に感じられた。

吉田 龍太郎Ryutaro Yoshida

椅子
スプリンター ダイニング アームチェアー(木座)
Chair
SPLINTER DINING Arm Chair (wood seat)

nendoの佐藤オオキ氏による流れるようなフォルムが特長のアームチェアーです。背からめくれるように裂けて、脚やアームになるデザインは、ほとんどが「半円柱」の部材となって全体に軽やかな印象を与えます。特に後ろ脚から背にかけての三次元的なラインが、「裂けた」様子をリアルに表現。どの方向から見ても流れるようなフォルムを実現しています。さらりとした感触の木座の他に座張や、クッション性のある背座一体型のシェルタイプもラインナップ。

株式会社カンディハウス CONDE HOUSE

使ってみたくなる3Dオブジェクト生成サービス

3Dプリンタブームといわれ、研究開発現場のみならず、家庭にまで3Dプリンタが普及するという説もある。しかし、モックアップではなく実使用に耐える品質をもった三次元オブジェクトの生成は、普及型の3Dプリンタでは困難である。さらに、金属、陶磁器、多色などの利用を想定すると、個別にプリンタを持つのではなく、ファブリケーション技術をネットワークサービスとして統合して提供する方向性がより現実的ではないか。
rinkak はその好例であり、出力品質、素材の多様性、3Dデータの流通支援、ソフトウェアの利用しやすさなど、多くの点で類似サービスと比較して数段先をいっており、完成度が高い。個人的にもぜひ使ってみたい。

暦本 純一Jun Rekimoto

デジタルものづくりサービス
rinkak
Service for digital fabrication
rinkak

rinkakは、3Dプリンターなどのデジタル製造技術を用いた新しいものづくりマーケットプレイスです。ユーザーはrinkakに3Dデータをアップロードするだけで高性能な製造設備でプロダクトを製造・販売できます。プロダクトは受注毎にオンデマンドで製造するため、クリエイターは在庫を持つことなく1つからプロダクトの販売ができます。また素材に関しても一般的なプラスチックだけでなく、陶器や金属、ラバーまで多様な素材で作品を製造することが可能です。rinkakは多種多様な分野のクリエイターとユーザーによる創発性の高いコラボレーションが行われ、新しいものが生まれる受け皿となることを目的としています。

株式会社カブク kabuku Inc.

これぞ進化形。

実は知らなかった。これが2005年のグッドデザイン金賞に輝いた「電池がどれでもライト」の後継商品であったことを。あの3.11の直後、単一電池が品切れで自宅の懐中電灯が使えない日々。単三はあるのに…。買っておけばよかった「National 電池がどれでもライト」。
あれから九年、単一から単四まで初代の三種から四種の電池に対応したため、ずんどうなプロポーションに、しかしコンパクトになった。光源はLEDになり、明るい。大きくて持ちやすいハンドル、立てればランタンにもなる。
安定感ある懐中電灯らしいフォルム。あの時に買わなくてもよかった、これを買おうと素直に思えた。進化とはこういうことと思わせる逸品である。

渡辺 弘明Hiroaki Watanabe

電池がどれでもライト
Panasonic BF-BM10
Multiple Battery Light
Panasonic BF-BM10

震災以降、非常時の備えに対する関心は高まるばかりである。初代「電池がどれでもライト」は災害時での非常照明器具としても活躍、好評であるが、サイズが大きく機能も制限されていた事もあり、市場要望などを反映して新たに開発。LED化、ダウンサイジング、4種の電池1本から使用可能、懐中電灯とランタンのダブル機能など、大幅な進化を果たすことが出来た。アウトドア使用など用途も広がり、多くのシーンで活用して頂く事が狙いの商品。

パナソニック株式会社 Panasonic Corporation

使いやすさと分かりやすさ

バランスの取れたデザイン。シンプルですっきりした形状で、簡潔な機能性を表現しています。
公共スペースでの利用を目的としているため、使いやすさと分かりやすさは利用者にとって重要なことです。無駄のない形状と機能性により、シンプルでありながら公共の場で役立つ製品となっています。
また、水栓上部のLEDインジケーターによって流水時間を直線形で表示し、無駄のない水の利用に役立てるコンセプトにも好感が持てます。

Chi Wing Lee

Electronic time-lapse faucet
Wing

Inspirited from the shape of winds, this digital faucet is full of hard and clean lines. Through LED and touch technology, it brings users water with the constant temperature. When touching the LED button, the water level indicator lights up; when decreasing the water, the water level indicator becomes shorter. The LED will back to the initial state after using. With clear and simple LED display, the idea of user caring is embodied in this faucet.

Xiamen Solex High-Tech Industries Co., Ltd.

冷たくないミニマル・デザイン

スマートプレートはミニマル・デザインでありながらも、その形は決して冷たい印象を与えず、やさしさをデザインでうまく表現した製品だ。フォトフレームという従来のファクターに「プレート」という観点から新しい解釈を加えようとした試みといえる。特に正方形のディスプレイは、「伝える」という写真の意味に注目する代わりに、データを忠実に伝えなければならないという固定観念を大胆に打破することで、製品の完成度を高めた。さらに、ディスプレイのベゼルの薄さこそが技術力の尺度と見なされる熾烈なデジタル時代に逆行し、驚くほど十分な厚みがあるフレームは、プレートに盛り込まれた貴重な瞬間に対する気持ちの重みを意味するようである。

Do-sung Chung

Wireless Streaming Photo Frame
Smart Plate

Smart Plate is an interlocked cloud Wi-Fi digital photo frame, which could be shared through a smart phone application. The magnet cover attached on the front is a cool display product made it to appear like a warm interior accessory and a furniture rather than a functional machine to bring people closer together. The front cover could be used as a display protection cover when not being used and it also could be used as a photo frame cradle while using it. And the product's setting could easily be changed & managed remotely through the sender's smart-phone.

Tangram Design Lab., Inc.

見えない部分にも配慮を感じる

このテレビを通じて経験できる感動や高級感は、従来のテレビでは感じられないものだ。カーブディスプレイによって、狭いスペースでも大型シアターで感じられるほどの満足度の高い色合いやクオリティを実現している。鮮やかなスクリーンやカーブは、まるでその画面に入っているかのような錯覚を感じさせる。集中して画面を見られるように、他のビジュアル要素の干渉が最低限に抑えられたシンプルなミニマリスト・デザインに対するコンセプトによって、目に見えない部分まで行き届いた配慮が感じられる。たとえば、リアルメタルで制作したシンプルな背面構造はテレビをつけない時にはひとつのオブジェのようになり、より特別な空間を演出できる。

Jung sik Yun

Premium Curved UHD TV
HU9000

U9000 TV is a premium curved UHD TV upgrading the quality of watching TV through a curved screen, thereby providing the ultimate sense of immersion. It creates the most beautiful curve in harmony with various spaces and arrangements and provides viewers the perfect visual of ultra-high definition TV with an ideal viewing angle. U9000 Curved UHD TV emblems a new paradigm shift of TV by offering viewers the full sense of experience and going beyond conventional experience.

Samsung Electronics Co., Ltd. Samsung Electronics Co., Ltd.

無限を想像させる明かり

Infinito light は、照明とムード演出の二つの機能を融合したダイニング用のペンダントライトです。その造形はシンプルで美しく、なめらかで、無限を表す「∞」の記号からインスピレーションを受けたユニークな立体構造が特徴です。この「∞」をバランスよく分割することで、光源の片方は温かみのある白で心地よい照明を提供し、もう片方はネオン色で好みのシーンを自在に演出します。
環境や気分に応じて明るさとムードを無数に組み合わせることができ、無限の想像というデザインコンセプトを表しています。照明の方向調節やムーディな光の表現、そしてねじれ部分にあるセンサーのいずれもデザインの構成にマッチしており、デザインと機能性の完璧な融合を実現しています。

Manfred Wang

Infinito light
QisDesign

The Infinito is an LED suspension lamp which serves both as luminous and atmospheric lighting function. Inspired by the symbol of infinity the Infinito is segregated for different functionality through an elegant and simple twist; the big loop delivers warm white light for reading, while the other splendid neon allows you to create your own atmosphere freely. Embedded with sensors, the infinito can detect the movement of hands to adjust brightness and color of light in a variety of ways. Set the mind through colors and dim the light as you desired; there is no limit to your imagination.

BenQ

暮らしを楽しむ美学のあるパッケージ

山里日紅は、台湾・阿里山産の最高級茶葉のブランドです。デザイナーは、阿里山の「連なる山、日の出、雲海」の風景をモチーフに、簡略化した形を茶缶の装飾に用いることで、素朴で上品な質感をもたせています。化粧箱のデザインは中国の象形文字の表現手法を取り入れ、「山」の形を赤い糸とボタン、布目の質感で表しています。
東方哲学の要素を備えたこのデザインはお茶という商品イメージにぴったりで、高級感と上品さを伝える贈答品となるでしょう。単にお茶だけをイメージするのでなく、暮らしを楽しむ生活美学をパッケージに注ぎ込むことで、シンプルで落ち着きがあり、禅の世界観を備えた「山里日紅」のブランド哲学を創造しています。

Ming-Lung Yu

SUNRISE RE POT
SUNRISE RE POT-Taiwan Alishan Clouds Series Gift Set

Hundreds of oriental tea brand are competing in the market, the packaging of cloud dance tea series of Sunrise Re Pot is totally different from any of them. With the extract images of mountains, sunrise, and clouds in Ali Mountains, It presents the modern Taiwanese authentic virtues originally and the elegant aura of tea culture humbly as well as developed a unique style of design thinking.

Success-Sure International Co.,Ltd

執刀医の目線を伝える

Prodow は、高解像度の手術映像伝送システムです。これを用いることで、執刀医目線の画像を簡単に送信、記録することが可能になります。医者や医学生は、高品質な画像で手術の過程を感覚的に観察することができます。
デザインにおいては快適さと性能、バッテリー寿命の最適化を図り、高い信頼性、簡単操作と装着時の快適性を持つ製品に仕上がっています。

Renke He

Headmounted Surgery Camera
Prodow Surgery Camera

Prodow is a high-resolution operation video transmission system. With Prodow, it becomes easier for the image from the first perspective to be recorded and transmitted. Such features provide doctors and medical students an intuitive inspection of the surgery process through HQ images. We managed to discover a balance among comfort, performance and battery life and came up with a final product with the charactor of high reliability and feasibility, easy to operate and comfortable to wear.

Shanghai Feish Design Consulting Co., Ltd.

まさしく、伝統と現代とのハイブリッド

このシリーズは古さと新しさが融合した現代台湾磁器の代表作です。そのコンセプトは台湾の街でよく見られる廉価な使い捨てのプラスチック食器。デザイナーは、この食器が持つ補強リブの特徴を工芸へと巧みに変化させ、千年にわたり中国で作られてきた薄胎磁器(Egg-shell Porcelain)の強度と生産の合理性を高めるだけでなく、革新的な外観によって伝統の薄胎磁器を現代生活に融合させました。その結果、製造時間短縮とコスト削減を実現するとともに、新世代の異素材間応用モデルを創り出し、人々に驚きを与えました。その造形は、伝統とモダン、抑制の効いた品格を兼ね備え、繊細さの中に強い生命力を感じさせます。

Tony K. M. Chang

Porcelain tea set
Ts’e

Ts'e is a beautiful balance between the aesthetics of the East and the West. The meaning of the Chinese word Ts'e is "pure porcelain".

HAN Gallery

故人を敬い死の認識をも改める、文化的シンボル

公園のような環境の中、壮大でありながらもシンプルに設計された建物が驚くほど自然に周囲の環境に溶け込んでいます。本来の用途を知らなければ、人気のある現代美術館のような外観です。公共の火葬場と納骨堂にこのようにモダンスタイルを選択したことに多くの人が驚くでしょう。
暖かい木の色合いは、愛する人を亡くして嘆き悲しむ家族にとって悲しみを整理する助けとなり、そこに行く人々の恐怖心を和らげることでしょう。 香港では火葬場と納骨堂の需要が急増しましたが、住民は、それらを自宅近くに設置されることには消極的です。このプロジェクトでは、こうした矛盾を解決する画期的な管理・建築コンセプトが試みられています。

Xiangyang Xin

Wo Hop Shek Columbarium and Crematorium
Wo Hop Shek Columbarium and Crematorium

The project consists of a public Crematorium and Columbarium. The Crematorium has 3 services halls and a cremation plantroom. The innovative planning, peaceful service hall design as well as the integrated landscape provide a silent and peaceful place for grieving families to say goodbye to the deceased. The Columbarium houses 43,710 niches for bone ashes. It is designed as a parklike environment with a niche block with timber facade and thematic gardens of remembrance. It reduces sense of fear of a traditional columbarium and gives this building type a new image to the public.

Architectural Services Department, HKSAR Govt.

アートと日常生活が交わる香港のオアシス

油街実現(Oi!)はもともと、香港で百年以上の歴史を持つ貴重な建築物です。この文化財活用プロジェクトの成功の鍵は、建築物の保存と修復を丁寧に行い、景観との調和に配慮したことはもちろんですが、建築物の周囲に古い木々を残し緑豊かな庭園を作ったことです。ここに身を置くと、周囲の高層ビルや街の喧騒をしばし離れることができ、まさに貴重な都会のオアシスと言えるでしょう。 オープン以来、開催されたアートイベントや展示が地域社会や芸術を愛する人々を魅了してきました。実験型および参加型のインスタレーションもいくつか行われ、アートと日常生活の融合により、油街実現はビジュアルアートの新たな交流の場となっています。

Rocco YIM

Oi! (Oil Street Art Space)
Oi! (Oil Street Art Space)

Oi! considers art as a part of human culture. We believe that art allows curators, artists, designers and participants to share their experience, knowledge and creativity with one another. As a result of the precipitation and fermentation of art through life experience, we inspired to light up our lives, creating an ideal world where mutual empowerment can take place. Oi! revitalized the historic site and transformed it into an art space with contemporary art context.

Oi! (Oil Street Art Space)
ページトップへ