グッドデザイン賞受賞概要

2017年度|メッセージ

主催者挨拶

謹んで2018年の新春のお慶びを申し上げます。
昨年のグッドデザイン賞は、近年で最多のご応募をいただきました。昨秋に開催した受賞展にも大変多くの方にご来場をいただき、幅広い領域から選ばれた受賞デザインを皆様にご紹介することができました。ご支援をいただきました皆様に厚くお礼申し上げます。
今年のグッドデザイン賞は、これまでに築いてきたグッドデザイン賞の実績をベースに、これから先の社会像や望まれるデザインのあり方を見据えた新しい視点を加えることで、皆様からのご期待にさらに応えていける運用を心がけてまいります。
さらに、秋には東京ミッドタウンでの受賞展に加え、神戸市でもグッドデザイン賞の展示会が予定されており、関西方面で最新の受賞デザインを一堂にご覧いただく初の機会として成功が望まれるところです。
複雑さを増す社会において、デザインは人と人、人ともの、人とこと、ものともの、ものとこと、こととことを結び合わせて、暮らしの豊かさとともに、一人ひとりの望ましい生き方の実現にも貢献します。日本デザイン振興会は、日本におけるデザイン振興の中枢を担うべく、デザインの可能性をいち早く見出し、広げる役割を担ってまいりました。いま全国の各地で、デザインの力に着目して様々な事業に携わる様々な立場の方々がいらっしゃいます。それらの方々との協業・連携に積極的に取り組むことで、デザインの価値をさらに高めながら、社会の課題や問題の解決にも貢献できる活動を推進してまいります。それは、国内のみならず、国際的な協調を通じた実践によって、地球規模でともに探り、見つけ出し、前に進んで行くという姿勢であることが何よりも重要と考えております。
日本デザイン振興会の各事業に対して、本年も皆様からのご厚情を賜りますようお願い申し上げます。

2018年1月1日

公益財団法人日本デザイン振興会
理事長 大井 篤

審査委員長挨拶

本日、2017年度のグッドデザイン賞を発表しました。受賞1,403点のデザインを手がけられた皆様に心よりお祝いを申し上げます。
今回のグッドデザイン賞には、この30年間でもっとも多くの応募が寄せられました。それだけに、受賞デザインのジャンルや方向性が多岐に富むのがグッドデザイン賞の大きな特徴ですが、最近では共通したひとつの傾向がみられるようになっています。それは、日本や世界におけるさまざまな社会課題を意識したデザインが明らかに増えていることです。グッドデザイン賞としても、フォーカス・イシューに代表される、社会に対してメッセージを示す取り組みを3年前から着手して、それに対する共感の声をさまざまな方面からいただくことが増えました。
「デザインには社会の課題を解決できる力がある」そのような意思を持った方が、デザインを活用したり、自分たちの活動それ自体のあり方や進め方をデザインとして見立てることで、目標をよりよく達成していこうとする意欲的な動きが、今年の受賞結果にも多くみられます。デザインが持つ力を社会の中で発揮していくうえで大切なことですし、新たなデザインの可能性を見つけ出していくという意味でも、グッドデザイン賞として積極的に支援したい傾向です。
さらに、今年のグッドデザイン賞では、「かたちの役割」を重要なものとして考えました。これは最終的な造形として現される「形」という意味とともに、目的を持った活動が社会の共感を得て、その価値をより広めていくためには、コミュニケーションの接点となるなんらかの「表出」が重要で、その部分のクオリティがどれだけ高められているかに注目することが、デザインの役割であると考えたのです。
特に、グッドデザイン賞にはテクノロジーの進化と密接に関わるデザインが多く集まります。単に新技術の導入というだけにとどまらず、「何のための技術であるか、誰のための技術なのか」という問いかけがあることで、結果として私たちに豊かさや心地よさがもたらされるため、そうした面に対するまなざしは不可欠なものでした。
これらは、もちろんデザインを生み出す側が何より意識すべきことであるとともに、いかにそのデザインからこれからの社会に向けた豊かな可能性や、ユーザーにとってのよりよいストーリーを引き出せるのか、次へのモデルとしての規範性を認めるのか、審査する側にとっても大きく問われる部分でした。
結果として、今回受賞したデザインに対して、社会においてますます重要性を高めるテーマへの提案性や、それぞれのデザインを使う人への配慮、私たちに何かを気づかせてくれるようなひらめきなどを感じ取っていただけることを期待しています。グッドデザイン賞が問う「グッドデザイン」が、一つひとつのデザインそれ自体のよさだけを意味するのでなく、そのデザインが必要とされる状況や文脈の中で、人々のためのよさを築こうという意思を象徴するものとご理解いただければ幸いです。

2017年10月4日

2017年度グッドデザイン賞
審査委員長 永井 一史

2017年度グッドデザイン賞
審査副委員長 柴田 文江