グッドデザイン賞受賞概要

2017年度|事業経緯

2017年度のグッドデザイン賞は、昨年に引き続き永井一史氏を審査委員長、柴田文江氏を審査副委員長にお迎えした体制により実施しました。審査開始にあたり永井委員長からは、「デザインの背後にある配慮や美意識に目を向け、何をめざしているのか?を常にといながら審査を進めてほしい」という意志が表明され、幅広い視点から公正な審査に臨むことが提示されました。

グッドデザイン賞の審査理念
人間(HUMANITY)もの・ことづくりへの創発力
本質(HONESTY)現代社会への洞察力
創造(INNOVATION)未来を切り開く構想力
魅力(ESTHETICS)豊かな生活文化への想像力
倫理(ETHICS)社会・環境への思考力

グッドデザイン賞の審査の視点

人間的視点

  • 使いやすさ・分かりやすさ・親切さなど、ユーザーに対してしかるべき配慮が行われているか
  • 安全・安心・環境・身体的弱者など、信頼性を確保するための様々な配慮が行われているか ユーザーから共感を得るデザインであるか
  • 魅力を有し、ユーザーの創造性を誘発するデザインであるか

産業的視点

  • 新技術・新素材などを利用または創意工夫によりたくみに課題を解決しているか
  • 的確な技術・方法・品質で合理的に設計・計画されているか
  • 新産業、新ビジネスの創出に貢献しているか

社会的視点

  • 新しい作法、ライフスタイル、コミュニケーションなど、新たな文化の創出に貢献しているか
  • 持続可能な社会の実現に対して貢献しているか
  • 新たな手法、概念、様式など、社会に対して新たな価値を提案しているか

時間的視点

  • 過去の文脈や蓄積を活かし、新たな価値を提案しているか
  • 中・長期的な観点から持続可能性の高い提案が行われているか
  • 時代に即した改善を継続しているか

本年度の事業方針

2017年度グッドデザイン賞は、2016年度の改善点を引き継いだ上で、適正な審査の実施に加えて、審査方法や審査の視点などの理解を応募者により深めていただくコミュニケーションの強化を目標として開催しました。要点は以下の通りです。

適正な審査の実施

  • 様々な分野から新たに国内外から19名の専門家を審査委員にお迎えし、幅広い視野での審査を実施しました。
  • 3年目となるフォーカス・イシューについては、より今日的な課題を広い視野で捉えるため、見直しをして8つのテーマを設定しました。受賞者へのインタビューやディスカッションなども実施し、内容を深めた上で、提言としてまとめて発信します。
  • 審査プロセスの透明化を目的に、様々な情報媒体に対して審査の様子を公開しました。

コミュニケーション強化

  • 適切な審査情報の提供につなげるべく、応募期間中にグッドデザイン賞の審査を疑似体験する「審査ワークショップ」や「審査の視点セミナー」を実施しました。
  • 応募者に配布する資料やウェブバナー、SNSなどのビジュアルを親しみやすいものに刷新し、情報をわかりやすくしました。

2017年度グッドデザイン賞実施スケジュール

グッドデザイン賞の応募受付期間(4月5日 - 5月31日)

一次審査期間(6月8日 - 28日)
応募された対象を複数の審査ユニットに分けて一次審査を行いました。

一次審査結果通知(6月29日)

二次審査期間(7月7日 - 9月5日)
東京ビッグサイトでの二次審査会、海外現地審査などを実施しました。

二次審査会(会場:東京ビッグサイト東1・2ホール)(8月1日 - 3日)
一次審査を通過した対象について、現品やパネル等資料を用いた二次審査を実施しました。
審査1・3日目は非公開での審査を行い、2日目は審査を希望する応募者が来場し「対話型審査」を実施しました。また、会期中に未発表審査およびプレゼンテーション審査を実施しました。
タイ・インド・シンガポール・トルコとのデザイン賞連携に基づく応募について、担当ユニットが審査を実施しました。
各ユニットから推薦された「グッドデザイン・ベスト100」候補について、審査委員長、審査副委員長、各ユニットリーダー、フォーカス・イシュー・ディレクターで確認しました。

韓国二次審査会(8月8日・9日)
韓国から応募された対象について二次審査会を実施しました。
期間中には対話型審査を実施しました。
グッドデザイン・ベスト100候補を選びました。

香港二次審査会(8月10 – 12日)
香港および中国から応募された対象の一部について二次審査会を実施しました。
期間中には対話型審査を実施し、グッドデザイン・ベスト100候補を選びました。

台湾二次審査会(8月16日 – 18日)
台湾から応募された対象について二次審査会を実施しました。
期間中には対話型審査を実施し、グッドデザイン・ベスト100候補を選びました。

グッドデザイン賞確定会および「グッドデザイン・ベスト100」選考会(8月23日)
審査委員長、審査副委員長、各ユニットリーダーにより、二次審査結果の確定を行いました。
その後、審査委員長、審査副委員長および各ユニットリーダー、フォーカス・イシュー・ディレクターの合議により、各ユニットから推薦された候補対象からグッドデザイン・ベスト100を決定しました。

グッドデザイン金賞・特別賞審査会(8月24日)
審査委員長、審査副委員長および各ユニットリーダー、フォーカス・イシュー・ディレクターの合議により、グッドデザイン・ベスト100からグッドデザイン大賞候補、グッドデザイン金賞、グッドデザイン特別賞を選出しました。

二次審査結果通知(9月6日)
グッドデザイン賞、グッドデザイン・ベスト100について、エントリーサイトを通じて審査結果を応募者に通知しました。また、金賞等の内定者には個別で内定を通知しました。

受賞発表(10月4日)
2017年度グッドデザイン賞、グッドデザイン・ベスト100、グッドデザイン大賞候補を発表しました。
グッドデザイン・ベスト100

グッドデザイン大賞投票(一般投票)(10月4日 - 28日))
みんなで選ぶグッドデザイン大賞展

みんなで選ぶグッドデザイン大賞展(会場:GOOD DESIGN Marunouchi)(10月4日 – 28日)
みんなで選ぶグッドデザイン大賞展

私の選んだ一品2017(会場:東京ミッドタウン・デザインハブ)(10月4日 – 27日)
私の選んだ一品2017

グッドデザイン賞受賞展「GOOD DESIGN EXHIBITION 2017」(会場:東京ミッドタウン各所)(11月1日 – 5日)
GOOD DESIGN EXHIBITION 2017

グッドデザイン特別賞発表(11月1日)

グッドデザイン賞受賞祝賀会・グッドデザイン大賞選出(11月1日)

受賞年鑑「GOOD DESIGN AWARD 2017」発刊(2018年3月)

審査委員長挨拶(2017年4月5日公開)

グッドデザイン賞は、これまでの60年間
その活動を通じて、どんなデザインが生活に大切なのか、
明日の社会を導くのかを示し続けてきました。
それはすなわち、社会において
デザインの価値への理解を深め、デザインの範囲の拡大を
ナビゲートする役割を担ってきた、とも言い換えられます。

近年、デザインの概念はモノ・コト・仕組みだけではなく
人々の考え方や視点・発想のあり方にまで拡がり続けています。
その中であらためて、グッドデザイン賞は
”かたち”の果たす役割を重視したいと思います。
モノであってもコトであっても、
そこには表出された”かたち”があり、
”かたち”に介在した美意識は
暮らしの豊かさを問いかける意志の表れです。

審査では、それぞれのデザインの背後にある配慮や美意識を読み解くことで、
何がデザインなのか、デザインが何をめざしているかを問うとともに、
人とは何か、豊かさとは何か、より良い社会とは何なのか、
という根源的な問いにも向き合っていきたいと考えています。

また、デザインの社会的役割を
再定義していく試みとして取り組んできた「フォーカス・イシュー」は、
今年度さらに発展させ、
企業やデザイナーとのワークショップなど
より能動的な活動として展開していきます。

グローバリゼーションや経済合理性によって均質化が進む世界の中で
「ローカリティー」や「手仕事性」といった
長い時間軸の中で培われてきたかけがえのない文化や価値を
デザインはいかに尊重できるのか。
グッドデザイン賞はもとより、
ロングライフデザイン賞なども通じて注目してまいります。

皆様からの積極的なご参加をお待ちしています。

2017年度グッドデザイン賞
審査委員長 永井 一史
審査副委員長 柴田 文江