グッドデザイン賞受賞概要

2018年度|事業経緯

2018年度グッドデザイン賞は、新たに審査委員長に柴田文江氏、審査副委員長に齊藤精一氏をお迎えしました。審査を始めるにあたって、「人が人を想う中から生み出されるものごとが、どれほど志高く、美しいデザインへと昇華されているかに着目する」というメッセージによって、デザインによるクオリティの高い課題解決方法を積極的に見つけていく方針が示されました。

グッドデザイン賞の審査理念
人間(HUMANITY)もの・ことづくりへの創発力
本質(HONESTY)現代社会への洞察力
創造(INNOVATION)未来を切り開く構想力
魅力(ESTHETICS)豊かな生活文化への想像力
倫理(ETHICS)社会・環境への思考力

グッドデザイン賞の審査の視点

人間的視点

  • 使いやすさ・分かりやすさ・親切さなど、ユーザーに対してしかるべき配慮が行われているか
  • 安全・安心・環境・身体的弱者など、信頼性を確保するための様々な配慮が行われているか ユーザーから共感を得るデザインであるか
  • 魅力を有し、ユーザーの創造性を誘発するデザインであるか

産業的視点

  • 新技術・新素材などを利用または創意工夫によりたくみに課題を解決しているか
  • 的確な技術・方法・品質で合理的に設計・計画されているか
  • 新産業、新ビジネスの創出に貢献しているか

社会的視点

  • 新しい作法、ライフスタイル、コミュニケーションなど、新たな文化の創出に貢献しているか
  • 持続可能な社会の実現に対して貢献しているか
  • 新たな手法、概念、様式など、社会に対して新たな価値を提案しているか

時間的視点

  • 過去の文脈や蓄積を活かし、新たな価値を提案しているか
  • 中・長期的な観点から持続可能性の高い提案が行われているか
  • 時代に即した改善を継続しているか

本年度の事業方針

上記の審査方針を踏まえ、2018年度グッドデザイン賞は「発見・共有・創造」のプロセスを更に強化し、よりグッドデザイン賞の持つ価値を増大させ、社会へ還元していくことを目標として開催しました。要点は以下の通りです。

審査プロセスの見直しと特別賞の明確化

本年度より、「グッドデザイン・ベスト100」を特別賞候補として明確に位置付けるため、ベスト100に選ばれた受賞者に特別賞選考の最終プロセスとして、「ベスト100プレゼンテーション公開審査」に参加していただくこととしました。特別賞審査委員会はそれを経て、総合的な観点から金賞・特別賞とグッドデザイン大賞候補となる「ファイナリスト」を選出します。また、これまでの「特別賞」は、優れている点がよりわかりやすくなるように「グッドフォーカス賞」と改称し、テーマを明確に設定して顕彰するよう改善しました。

優れたデザインの発掘と評価方法の確立

グッドデザイン賞が持つ「優れたデザインを発見し、共有する機能」を広く社会に示すべく、早期から審査委員と協議し推薦応募を進めるほか、事務局職員は国内外の他のアワードの受賞結果やイベントなどから最新の情報を収集しました。また、先端的分野に関する深い理解を得るため、プレゼンテーション審査など特別な審査体制を整えました。

グッドデザイン賞を通じた人材育成プログラムの策定

グッドデザイン賞は、毎年そのプロセスから最先端のデザインを知ることができるだけでなく、60年以上に渡って蓄積されているアーカイブの宝庫でもあります。これらを活用し、審査会のアシスタントを学生のインターンプログラムとして確立しました。また、「フォーカス・イシュー」のテーマごとに興味のある学生を募り、自ら社会課題を解決するデザインアプローチを企画・提案する「フォーカス・イシュー研究会」を発足させました。

2018年度グッドデザイン賞実施スケジュール

グッドデザイン賞の応募受付期間(4月4日 - 5月23日)

一次審査期間(5月31日 - 6月26日)
応募された対象を複数の審査ユニットに分けて一次審査を行いました。

一次審査結果通知(6月27日)

二次審査期間(7月5日 - 9月4日)
幕張メッセでの二次審査会、海外現地審査などを実施しました。
また、国際機関日本アセアンセンターとの共同事業である「アセアンデザインセレクション」による応募について、担当ユニットが審査を実施し、グッドデザイン・ベスト100候補を選びました。

二次審査会(会場:幕張メッセ 9〜11ホール)(7月31日 - 8月2日)
一次審査を通過した対象について、現品やパネル等資料を用いた二次審査を実施しました。
審査1・3日目は非公開での審査を行い、2日目は審査を希望する応募者が来場し「対話型審査」を実施しました。また、会期中に未発表審査およびプレゼンテーション審査を実施しました。
タイ・インド・シンガポール・インドネシア・トルコとのデザイン賞連携に基づく応募について、担当ユニットが審査を実施しました。
各ユニットから推薦された「グッドデザイン・ベスト100」候補について、審査委員長、審査副委員長、各ユニットリーダー、フォーカス・イシュー・ディレクターで確認しました。

台湾二次審査会(8月7日 – 9日)
台湾から応募された対象について二次審査会を実施しました。
期間中には対話型審査を実施し、グッドデザイン・ベスト100候補を選びました。

韓国二次審査会(8月9日・10日)
韓国から応募された対象について二次審査会を実施しました。
期間中には対話型審査を実施し、グッドデザイン・ベスト100候補を選びました。

香港二次審査会(8月15日 – 17日)
香港および中国から応募された対象の一部について二次審査会を実施しました。
期間中には対話型審査を実施し、グッドデザイン・ベスト100候補を選びました。

グッドデザイン賞確定会および「グッドデザイン・ベスト100」選考会(8月22日)
審査委員長、審査副委員長、各ユニットリーダーにより、二次審査結果の確定を行いました。
その後、審査委員長、審査副委員長および各ユニットリーダー、フォーカス・イシュー・ディレクターの合議により、各ユニットから推薦された候補対象からグッドデザイン・ベスト100を決定しました。

二次審査結果通知(9月5日)
グッドデザイン賞、グッドデザイン・ベスト100について、エントリーサイトを通じて審査結果を応募者に通知しました。

受賞発表(10月3日)
2018年度グッドデザイン賞およびグッドデザイン・ベスト100を発表しました。
グッドデザイン・ベスト100

私の選んだ一品2018(会場:GOOD DESIGN Marunouchi)(10月3日 – 11月4日)
私の選んだ一品2018

特別賞審査会(10月10日)
ベスト100プレゼンテーション公開審査

グッドデザイン賞受賞祝賀会・グッドデザイン大賞選出(10月31日)

グッドデザイン大賞、特別賞発表(10月31日)

グッドデザイン賞受賞展「GOOD DESIGN EXHIBITION 2018」(会場:東京ミッドタウン各所)(10月31日 – 11月4日)
GOOD DESIGN EXHIBITION 2018

受賞年鑑「GOOD DESIGN AWARD 2018」発刊(2019年3月)

審査委員長挨拶(2018年3月15日公開)

2018年のグッドデザイン賞を開始します。
デザインは私たちの暮らしを支え、これから先の社会における新たな生活像を導きます。いつどのような時代にあっても、私たち一人ひとりが心豊かに生きられるために、有形・無形を問わずデザインが必要です。
いま、デザインに取り組もうとする人が増えています。これまでに存在していたものごとをより良くしたいと考えてデザインをする人、デザインを通じて世の中の課題に働きかけ、解決を目指したいと考える人、まったく新しいデザインの可能性を拓こうとする人など、さまざまな立場から、デザインに希望の種を見出し、「デザインだからできること」に挑む人たちが増えているのです。
そのようにして生み出されるデザインには、私たち“人“に対する想いや理想があります。そして、デザインであればこそもたらされる多様な豊かさのかたちがあります。
グッドデザイン賞は、そのように人が人を想う中から生み出されるものごとが、どれほど志高く、美しいデザインへと昇華されているかに着目します。日々の暮らしの充実をもたらすデザイン、次のシーンを描き出す確かな力を備えたデザイン、私たちに新しいストーリーを運んでくれるデザインを見出し、グッドデザイン賞のフレームを通じてその価値を伝えることに努めたいと思います。

柴田 文江

2018年度グッドデザイン賞
審査委員長 柴田 文江

齋藤 精一

2018年度グッドデザイン賞
審査副委員長 齋藤 精一